出会い ページ3
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それは日常の中、突拍子も無くやってきた。
隣の部屋に引っ越してきた彼。
前の人、最近出ていったばっかなのに次の人入るの早いな。変な人じゃなければいいけど。なんて、その程度の関心だったのに。
「初めまして〜、隣に越してきた篠原です」
挨拶にやってきた彼──篠原さんの声は、聞き馴染みのある、耳障りの良い声だった。私はこの声を聞いたことがある。最愛の彼、ゾムさんの声。私の、大好きな人の、大好きな声。
会話を交えたのは初めてだと言うのに、篠原さんの声があまりにすっと耳に馴染むものだから、これと言った根拠はないけど、今目の前にいる篠原さんがゾムさんなんだと確信する。十中八九、本人で間違いない。
何の根拠もないけれど、私がゾムさんの声を聞き間違えるなんて有り得ないという、絶対的な自信があった。
「……ご丁寧にどうも。椎菜と言います」
隣に越してきた人が自分がずっと応援していた人だった…なんて、物語の中だけの話だと思っていた。まさかの出来事に、内心動揺するも、愛想良く会話を交わしてから玄関の扉を閉める。
ばたん、と玄関の扉が閉じたのと同時に、気が抜けて大きな溜息が一つ溢れた。
放心状態のまま、ぱたぱたとスリッパの踵を引き摺りながら真っ直ぐ寝室へ向かいぽふんとベッドに腰掛ける。
「はあ………絶対そうだって…ゾムさんの、声だった……」
果たして本当に
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作者名：ゆゅ子。 | 作成日時：2022年6月10日 17時
