10話 ページ10
『ねぇ、自分で歩けるからおろしてよ。周りの目が凄く気になるんだけど。』
私はショッピに訴えかける
先程から幹部が見知らぬ子供を連れて歩いているという異様な光景に、使用人や軍の一般兵達は皆驚いたような表情をしながら通り過ぎていく
誰かの隠し子だとか変な噂が流れでもしたらたまったものではない
syp｢嫌です。ワンチャントントンさんに叱られることを考えたらこれくらいは許してもらわんと割に合いません。｣
随分とちゃっかりしている
それにしても流石は軍人、子供とはいえ10歳程でありそれなりに大きい私を片手で抱えられるショッピに少し関心をする
『よくその細い腕で私を抱きかかえられるよね。重いでしょ。』
syp｢そんな事ないですよ。Aさんの重心を俺の肩と胴体の方に寄せてるんで、腕は落ちないように支えるだけでも意外と何とかなるんですよ。土嚢袋とか運ぶ時にも使える技です。｣
『へぇ〜、軍で学んだ事って日常で役立つこともあるんだね。』
そうやって雑談をしながら歩くこと数分
この異様な状況に慣れ始めた頃に私とショッピはロボロの部屋の前へとたどり着いた
私をその場におろしたショッピと並んでドアの前に立つ
いつもより大きく感じるそのドアを前にして、急に緊張がおしよせてくる
『ショッピ…どうしよう凄く緊張する。』
syp｢知ったこっちゃないです。俺はもう戻りますよ。Aさんがトントンさんを宥めるまで身を隠さないといけないんで。｣
『薄情者！』
syp｢いや、逆に俺がいたらそれはそれで邪魔でしょ。それに、人がイチャコラしてるの見る事程しんどいものもそう無いですよ。｣
『イチャコラって。』
syp｢じゃ、そういう事なんでご自分で何とかして頑張ってください。｣
そう言ってショッピは最後にもう一度私の頭を撫でるとさっさともと来た道を帰っていく
ロボロの部屋の前にひとりで取り残された私は少し呆然とした後、大きく息を吸い込んで深呼吸をする
ここまで来たら覚悟を決めるしかない
普段の余裕を思い出せ
何のためにこの薬を作った
可愛いロボロを見るため
ロボロに頭を撫でてもらうため
薬の効果は短くても半日
まだ時間に余裕はある
大丈夫
そう言い聞かせて私はロボロの部屋の扉をノックした
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餅之助(プロフ) - まりあさん» 嬉しいコメントありがとうございます！とても励みになります！ゆっくりとではありますが頑張って更新していきますので、楽しんで頂けましたら幸いです！ (2月4日 20時) (
レス) id: 9cabb3db88 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - すごく素敵な文章で読みやすいです。更新頑張ってください！ (2月4日 19時) (レス) id: e29621fb11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅之助 | 作成日時：2024年1月27日 1時
