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この子の世界は敵だらけだったのだ。その敵を蹴散らし救いあげたのはひとらんさん、Aさん自身は理解しているのか不明だが、この子の中でひとらんさんは確実に大きな存在になっている。
「エミー、この本ひとらんと話したい」
「ひとらんさんと読みたいんですね」
「よ、む……？」
「ええ、本は読むと言うんです」
「話すと読む、違う？ なぜ？」
この子はコミュニケーションを取れるようになった。だがしかし言葉が足りない。
こういう時の私なのではないだろうか。
「Aさんには言葉が足りませんね」
「足りない？」
「人はね、気持ちだったり、状況だったり、何かを伝えるために沢山の言葉を使うんです。Aさんにはその言葉が足りないんですよ」
「足りないとダメ？」
「言葉が足りないと伝わりませんから」
伝わらなければコミュニケーションが取れない。
Aさんがここに、ひとらんさんの傍にいたいと思うなら。彼女は言葉を学ばなければならない。
「もし、貴方が望むなら私が貴方に言葉を教えますよ」
Aさんの年齢は知らない。だが私より遥かに若いことは分かる。
そんな若い命を、何の知識も身につけさせないまま外に放り出すのはあまりにも酷な話ではないだろうか。
「言葉を覚えればもっと沢山お話出来ます」
「もっと沢山理解できます」
「もっと沢山仲良くなれます」
握手は切っ掛け、仲を深めるのは言葉だ。
「教えて、言葉知りたい。もっとお話する」
「ええ、良いですよ。言葉を覚えたら一人でも本が読めるようになります」
「A知ってるよ、教えてくれる人はせんせーって言うんだ」
エミせんせーだ、と話す。
先生と呼ばれるのはいつぶりだろうか。
「では、少しずつ教えましょうね」
こうして私は、もう持つことは無いだろうと思っていた小さな生徒と出会った。
※※※※
「あれ、いつの間に仲良くなったの」
エミさんに呼ばれて図書室に行けばソファーに座るエミさんと、横で眠るAがいた。
「良い子ですね、躾られたと言った方が適切ですか？」
「物覚えがいいから、興奮しなきゃ大人しいよ」
「親バカみたいですね」
俺もそう思う。
「この子の、Aさんの先生になりましたよ」
「へー……えぇ!?」
「物覚えも良いので、教える方としても楽しいです」
久しぶりに教えがいのある生徒に出会えて嬉しいです、と言われると益々困惑する。
えー……俺がいない間に、この二人に何があったの。
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夏目(プロフ) - その意見に僕も賛成ですね！納得出来ます。 (2018年10月14日 18時) (
レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
salty*(プロフ) - その意見好きです。同じ思考の方がいて安心しました。 (2018年10月14日 13時) (レス) id: a689761f76 (このIDを非表示/違反報告)
水無月みなと(プロフ) - 作者様がどこまであの件を知っているのか定かではないのですが、あの件についてはタイミングが悪かったとしか言いようがないかと思います。長文失礼致しました。 (2018年10月14日 12時) (レス) id: 14b86691aa (このIDを非表示/違反報告)
水無月みなと(プロフ) - コメント失礼します。某生放送の件ですが、knさんがなにを見たのかははっきりしておりません。もちろん、作者様がおっしゃっているDV系のを見たという可能性はないとは言い切れませんが、少なくとも本人の口からはなにを見たとは言っておりませんでした。 (2018年10月14日 12時) (レス) id: 14b86691aa (このIDを非表示/違反報告)
レディ・トリカワ(プロフ) - ねねさん» 初めまして、誤解があったようですみません。BLのことを特殊性癖と書いた訳では無いのです、DV系の話だったと聞いたので特殊性癖だなぁと思い今回そう表記しました。不快に思われたようですみません。私自身はBLはむしろ好きで書いています。 (2018年10月14日 11時) (レス) id: ef467aa87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レディ・トリカワ | 作成日時：2018年9月20日 11時
