【番外編】彼方の銀世界できみと眠る【鶴丸国永】

ほろ苦いオランジェット12 ページ39

「な、なんだって」



一方、「結婚」という言葉に、カチャンと箸を落として取り乱した一文字則宗が信じられないというように目を丸くしてこちらを見つめる。


こんなに動揺した御前、見たことがなかったかもしれない。一体何なの、私の結婚がそんなに意外だった？と訝しんでいると、御前はらしくもなく声を荒げてこう言った。




「孫、僕は！」



「え、な、何ですか」



「孫！お前、小さいころは僕と結婚すると言っただろう！」





私から引き継がれた名物ちゃぶ台返しならぬ台パンを披露した御前はいきおい余って立ち上がる。

私審神者始めたの十代半ばからだし、そんなこと言ったっけ？ と思っていると、



「言ってねえよじじい」



と、すかさず近くに座る清光が御前の首元を引っ掴んで席に座らせる。


ついでに「あんたAの小さいころ見たこともないでしょーが」と鋭いツッコミを入れていた。




「まあ坊主の言う通りあれは冗談だ。
いや、だが孫！変な男審神者なんかが相手なら僕は許さんぞ！」



「は、はい」




思ってもいなかったことを言われて驚いてしまう。御前って、こんなに過保護だったんだ。



この本丸にいたころは、「おじーちゃん」なんてたまにふざけて呼んでいたものだったけれど、まさか本当に孫扱いされてるとは思わなかった。

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