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You.s
ずっと、誰にも言えなかった
私は所詮、先輩の彼女でしかなくて
血の繋がりとかそういう目に見える関係もない
先輩のご家族が悪いわけは絶対にないし
私がこんな風に思うこと自体間違ってる
それに私は先輩から色んなものを貰った
先輩がくれた愛も、勇気や優しさも
それはちゃんと私に、私だけに向けられたもので。
そんな私がこういうことを思ってしまうのは
傲慢だ、贅沢だと、そう言われるのが怖かった
もし、先輩に訪れる未来が予め分かっていたとしても
私は関係を終わらせることはしなかったと思う
一緒にいることで、失う悲しみが大きくなると分かっていても
それでも別れを選びはしなかったと思う
それくらい、好きだったから。
だからこそ、もし未来が分かっていたなら
先輩との目に見える"しるし"を求めたと思う
私がこんなことを思っていても、口にしても
誰一人として文句を言わせない
そんな繋がりを求めたと思う
いくら後悔しても
もう変えようがない、出来ることなど何もない
そう分かっているのに
前に進むこともできず
今日までずっと、引きずってきたのだった
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作者名:沙耶 | 作成日時:2023年1月16日 22時