黄色3 (ページ9)

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Yamato.s

『大きな斎場にたった一人で、
職員さんたちが片付けてるのぼーっと見てたらさ。

ああ、
私って先輩の"何"でもなかったんだなって思ったの。

所詮お付き合いなんて口約束でしかなくて、
何の力もないんだって。』

Aの言いたいことはすごく分かった

きっと、疎外感で堪らなかっただろう

参列者はみんな遺族に対して
ご愁傷様でしたって、本当に残念ですね、って
悲しみや同情の言葉をかける

Aだって、抱えた気持ちは
家族とほぼ同じみたいなはずなのに。

何なら家族より近い距離にいて、
先輩のことを一番理解していたのはAだったと思う

でもAの悲しみを知る人は、その中には居なくて。
先輩のために出来ることも何一つなくて。

心底、無力さを痛感させられたに違いない

目の前に飾られた遺影を
眺めることしかできなかったAの気持ちを思うと
あまりにも胸が苦しくて

ただただ、その時側にいられなかったことだけが悔やまれた

『私ね、先輩と付き合ってるだけで満足してた。
結婚とかまだ全然、半分夢みたいな遠い感覚だった。

それくらい、当たり前に幸せの中にいたの。

でも、あんなことになるなら結婚すれば良かった。
冗談で流さないでちゃんと…ちゃんと話をすれば良かった。

堂々と先輩の隣に立って、並んで歩ける人でいたかった。
先輩との、確かな証が欲しかっただけなの……」

やり切れない、やり場のない思いは
宙に浮かんだまま今日まで来た

「頑張ったね、よく一人で耐えた。
凄いよ、Aは凄い。」

ぽろぽろと涙をこぼすAの頭をそっと撫でた