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Yamato.s
雨で濡れているかもと思い、念の為タオルを何枚か持って
Aが送った位置情報の示した場所へ車で向かった
建物の軒の下に姿を見つけ、傘を差しながら車を降り
小走りでAの側に行くと
「…やっぱり。」
案の定しっかりずぶ濡れになったAがいた
『あ……ちょっと思ったより雨強くてね、
結構濡れちゃった。(笑)』
俺、もう分かるよ。
電話の声がいつもより少し低めだったこと
頑張って普通にしようと声を張ってること
何かを隠すように笑顔を浮かべてること、気付いてるよ。
思わず抱き締めてしまいそうになって
慌てて、手に持っていたタオルをAの頭に掛けた
『…すご。何で持ってるの?』
「今日の天気予報晴れだったから。
傘持ってってないんじゃないかと思って。」
濡れた髪や服をタオルで拭いているAは
何故か、今にも消えてしまいそうなくらい
いつもより余計に小さく見えた
本当は言いたいことも聞きたいこともあったけど
何にも聞かずにすぐ、Aの荷物を持って車に乗せた
『ごめん。シート濡れちゃう。』
「いいよ。助手席とかほとんど誰も乗んないし。」
『ありがと。』
その後、車を走らせている間で一通り髪や服の水気が取れたのか
俺がコンビニに着いたのとほぼ同じくらいにAの様子も落ち着いた
『コンビニ?』
「寒いっしょ。コーヒー買ってくるけど、他に何かいる?」
『ううん、大丈夫。ありがとう。』
タオルでくるまれたAを車に残し
小走りでコンビニに入った
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作者名:沙耶 | 作成日時:2023年1月16日 22時