133 ページ33
You.s
"来週までに、このページのアイデア出しと
ここのレイアウトを考えて来てちょうだい。"
散々怒られた後、最後に
とうとう編集長から"宿題"を出されてしまった
重たい足を引きずりながら電車に乗って
最寄りで降りた後、帰り道を一人で歩きながら考えたけど
一体自分はどうしたいのか、この先どうすればいいのか
そればかりが頭を巡って
アイデアなんて到底浮かびそうもなくて
"心が死んでる"、ってこういうことを言うんだと思った
そんな空っぽの頭でぼーっと歩いていると突然
ポタッ、と頭に水滴が当たったような気がして空を見上げると
次の瞬間、雨が勢い良く降り始めた
『、うわ、最悪……』
もう、今日は踏んだり蹴ったりだ
走る気にもなれなくて
雨の中をずぶ濡れになりながら歩いていると
すでに閉店しているカフェの軒下を見つけて、そこに避難した
髪も服も何もかも水浸しだったけど
鞄の中を覗くと、仕事の書類だけは何の被害もなく綺麗なままで
それが今は少しだけ恨めしく思えた
こんな状況でも無意識に書類は庇って歩いてた。
仕事、全然楽しくないし行きたくないし
別に濡れてダメになったって構わなかったのに
いつの間にかちゃんと社会人してて、ほんっと笑える。
止まない雨を見つめながら
『私、何してるのかな…』
今の自分があまりに滑稽で
情けなくてしょうがなかった
555人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沙耶 | 作成日時:2023年1月16日 22時