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You.s
編集部に勤めて二年と半分が過ぎようとしていた
コムドットと仕事をして以降、私個人としては
これといって何の結果も出せていなかった
与えられた仕事に熱量を注げないということは
その仕事が好きじゃないということ
その仕事を好きじゃないということは
自分の思いとは合っていないということ
しかし、だからといって転職する勇気も覚悟もなく
中途半端な気持ちのままで
編集長「来月号はこのテーマでやろうと思ってるんだけど
みんな何か意見あるかしら?」
定期的に行われる会議も、アイデア一つ浮かばない私は
積極的に発言することもせず
編集長「下澤さんは?何かアイデアある?」
『あ、えっと…最初に出ていた案が良いと思います。』
ずっと、使えない若手のままだった
会議が終わると、編集長に私だけ残るように指示された
編集長「最近どうしたの?やる気ある?」
『すみません…』
編集長「分かるわよ。自分が元々やりたかった仕事とは違うでしょうし、あなたの大学時代の頑張りが生かしきれてないのも分かってる。
でもね、世の中そういう人はいっぱいる。
自分がやりたいことだけやって、それで生きていける人なんてほんの一部なの。現にこの編集部で働いてる人だって、第一希望で来た人は片手で収まるくらいよ。
でもみんなちゃんとやることやって頑張ってるの。
下澤さん。あなた、いつまで学生気分でいるつもり?」
返す言葉もなかった
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作者名:沙耶 | 作成日時:2023年1月16日 22時