黄色3 (ページ25)

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Yamato.s

合わせた手を下ろし、ゆっくりと目を開けた

どれくらい目を瞑ったままだったのか
目に飛び込む光が眩しかった

立ち上がり、ずっと待ってくれていたAを見ると
Aは俺を見て、少し目を見開いた

『やまと…泣いてる。』

「え、？」

そう言われて頬に手をやると、水滴が手に流れてきた

あれ、俺今泣いてるんだ。

ようやく気づいた

亡くなったって報告を受けた時も

それを聞いたすぐ後も

みんなが別れを惜しみ涙している時も

灰となりこの世を去る最期の瞬間も

俺はずっと、仕事をしていた

だからずっと
広夢さんの死とちゃんと向き合えていなかった

今の今まで、ずっとだ。

『思う存分、好きなだけ泣いていいよ。
ここには誰もいないから。』

そう言ってAは俺の右手にハンカチを握らせ
側から離れて行った

俺は、その場に膝から崩れ落ちた

優しくて憧れの先輩

大好きな先輩

尊敬しかない先輩

もう二度と超えられなくなってしまった先輩

　

一度くらい、一緒にお酒飲みたかった。

惚気でもなんでも良いから
先輩の声をもう一度聞きたかった。

周りなんて気にせず泣いた

悲しさを、苦しさを、悔しさを、もどかしさを、やるせなさを
全部涙に詰め込んで

静かに聳え立つ墓石の前で
ひたすら俺は泣いた