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Yamato.s




テオくんと話してから数週間後


深夜まで及んだ雑誌の撮影を終えた
ある日の帰り、二人で車に乗ると






ぼん「もうすぐ半年だな。」





ふと思い出したように
ぼんが唐突に、俺の方を見るでもなくそう言った







「ああ…そっか。もうそんな経つのか。」





ぼんが誰のことを言ってるのかはすぐ分かった






ぼん自らこの話をしたのは


広夢さんが亡くなって以来、初めてのことだった








ぼん「俺らだけらしいぞ、広夢さんに挨拶してないの。」


「色々言われてんだろうな。(笑)」


ぼん「先輩たち怖えからなー。」






学生生活は割と、礼儀や上下関係は
厳しい環境で育ったと思う


先輩達に、またいつか会う機会があるかは分からないけど
想像するだけで怒られる未来が見える

みんな大人だし、俺らの事情もきっと分かってるから
もちろん本気で怒りはしないだろうけど。







「何か俺らもさ、大人になったよな。」


ぼん「なんだよ突然。(笑)」


「変わっていったもの、いっぱいあったなって。」







自分を纏う世界が変わっていった去年



忙しい毎日の中で
目に見えるもの、見えないもの

たくさんのもの達が
自分の掌からこぼれ落ちていった



思い返しても後悔はないけど、少しの寂しさが残る






ぼん「そうやって変わっていったことをあげれば
キリないかもだけど、その分変わらないものもあるよ。」






大切にしたいと思える人、その気持ち

自分が何者でも、ずっと味方でいてくれる人

自分の中にある信念




自分のすぐ近くにあるものは
意外と何も変わってないのかもしれない







「時間作って、ちゃんと会いに行きたいな。」





広夢さんに会って報告したいことや
言いたいこと、言わなきゃいけないことがいっぱいある






ぼん「一周忌までには何とかする。」





すっかり敏腕マネージャーになったぼんの
頼もしい言葉を最後に


車の心地良い揺れの中で、俺はいつの間にか眠っていた

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作者名:沙耶 | 作成日時:2023年1月16日 22時

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