もしもね。 (ページ8)

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ふつうって？ページ8

【設定】
大我＝19歳。生まれつき足が不自由で車椅子生活をおくっている。年の離れた弟の北斗を溺愛している。
北斗＝5歳。保育園の年中さん。お兄ちゃん大好きな甘えん坊。

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大「えっ、お迎え？」

母「そう、北斗の。今日どうしても間に合わなそうなのよ。そんなに遠くないし、たまには外出たら？
じゃ、頼んだわよ〜！」

大「え、ちょ、母さん！」

困ったことになった。

俺は生まれつき足が動かない。
産まれてすぐに何度か手術をしたみたいだが、残ったのは大きな傷だけで、俺の足が動くことはなかった。

まぁ、手術した記憶なんかないし、ずっと車椅子生活なので別に今更不自由があるなんてほとんど思ったことはない。

ただ、周りとの違いを明確に感じ始めたのは確か保育園に通っていた頃だった。

車椅子になんか乗ってるのは俺だけだし、みんなが不思議そうにこちらをじっと見てきた様子は、嫌でも記憶に残っている。

それでもどうすることもできないし、それなりに色んな事に折り合いをつけながら生きてきた。

そして高校生になった時、俺に弟が産まれた。

弟の名前は北斗。

それはそれは可愛い顔をしており、心配していた足も何の障害もなく、すくすくと大きく育ってきている。

我ながら、北斗にはかなり好かれていると思っている。

毎朝俺を起こしに来てくれたり、靴や靴下を履くのを手伝ってくれたり。

幼いながらに、俺の足が動かない事を理解してくれているのだろう。

だけど、俺の事情を知らない北斗の保育園のお友達が俺の姿を見たら、北斗が何か悪口を言われてしまうのではないか。
それが心配で、今まで北斗のお迎えに行く事を避けてきたのだ。

しかし、刻一刻と迫ってくる北斗のお迎え時間。

甘えん坊の北斗を泣かせてしまうのは心苦しいので、意を決して出発をした。