いつだって君は。【青山陸】 ページ1
会いたい。
気がつけばそう連絡をしていた。
でもすぐに送信取消をしたから、きっとバレてはいないだろう。
仕事でミスをした。そんな単純な理由だった。
そんなに大したミスでもないのに、1日中これでもかと引きずり、気分は最悪。
今日の星座占いは最下位に違いない。
あぁ、でもどうしてあんな面倒な女が言うようなことを送ってしまったのだろう。
全く、無意識というのは恐ろしいものだ。
『なーに拗ねてんの』
「は、拗ねてないし。てか何でいるの」
『何でだろう。っていうか、ねぇ、玄関開いてたよ。ちゃんと戸締りしてね?』
あー寒い寒い、
と当たり前のように、コタツでうだうだしている私の隣に入り込んできた。
「せーまーい。何で反対側行かないの」
『だって寒いじゃん!』
「あっち行ってよ、ねぇ纏ってる空気がもう冷たい」
『だって走ってきたんだもん!』
え、走って?
ふと陸の顔を見上げると、セットしてない前髪から覗く目と視線がぶつかる。
するといつもは暖かいはずの彼の手が私の頬を包む。
冷たさに身を震わせた。
「どうしたの。」
いつもは彼より冷たいはずの私の手を添える。
『…どうしたの。』
たまらなく、優しい声だった。
「どうもしない。」
『嘘。』
「…うん、嘘。」
『理由って必要?』
「え?」
『会いたいに、理由なんてさ』
「いると思ってた」
『そうだと思った』
「…必死に、探してた」
『…馬鹿だなぁAは』
「陸にだけは言われたくない」
えへへ、といつも通りのへらへらした優しい声で笑った
『…俺も、会いたかったよ』
彼にしては随分と低い声が聞こえた頃には、私の頬はすっかり温まっていた。
ーその優しさに溺れそう、
【いつだって君は。】fin.
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年12月7日 22時