119_緑谷side ページ43
緑谷side
小学生の頃
3日連続の欠席で溜まった宿題などを届けに、Aくんの家へ行った時のことだった。
「え？Aくんが部屋から出てこない…？」
驚いた僕に、Aくんのお母さんが不安そうに頷く。
お母さんいわく、体調不良なのは確かなのだけれど、誰も部屋の中に近付けるさせようとしないらしい。
この3日間、食事どころか水すら手をつけていないそう。
「Aくん、入るよー？」
部屋は遮光カーテンで閉め切りにされていて、夜みたいに真っ暗だった。
「わっ、なにこれ糸…！？」
「いず…く……？」
「Aくん！？心配してたんだよ…？」
部屋の奥から聞こえたかすかな声がした方へ、僕は糸を避けながら手探りで進んで、やっとの思いでAくんの元へたどり着いた。
暗くて顔は見えなかったけれど、熱で意識が朦朧としていることは幼い僕でも分かった。
「ほら、お母さんも君がご飯食べなくて心配してるんだ。食べなきゃダメだよ！」
「……うん、食べる。」
あれ、Aくんのお母さんから聞いてた話とちょっと違うな…？
どうしてだろうと聞こうとお母さんがいる方へ振り返った僕は、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
僕らの様子を部屋の入り口で見ていたAくんのお母さんが、今にも泣きそうな顔をしていたからだ。
「…Aくんはこんなにも僕を受け入れてくれるのに、どうして君は自分のことを教えてくれないの？」
たとえば、今僕の目の前で臨戦態勢を取るAくんの手に持つナイフ。
刃物を使った近距離戦なんて、君はどこで訓練したの？
「…来るな。」
毛布にくるまりながら威嚇するように僕を睨む、その目の焦点は定まっていない。
きっとあの日と同じように、意識が朦朧としているのだろう。
「Aくん、もう大丈夫。──僕が来た。」
安心させるようにAくんの目線まで屈むと、僕を睨んでいた紅い瞳が迷子の子供のように不安げに揺れた。
「……い、ずく…？」
「そうだよ。僕だよ、Aくん。」
Aくんの頬を撫でれば、ふっと張り詰めていたものが消えたのが分かった。
力尽きたように僕へもたれかかり、そのまま気を失った。
…こんなになるまで、誰にも言わずに我慢してたのか。
「そんなに僕を信頼してくれるなら、守らせてよ、君自身を」
毛布一枚しかない質素な部屋の奥で、僕はAくんを抱きしめた。
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トカ - ずっと続き待ってます、、、 (4月13日 20時) (
レス) @page46 id: e74bb02192 (このIDを非表示/違反報告)
腐りきった鳥 - ダメだ、、、どうしても腐に変換してしまう、、、！！(続きは亀進行でもいいので更新してくれると嬉しいです！！！ (3月26日 13時) (レス) @page30 id: e74bb02192 (このIDを非表示/違反報告)
美呉(プロフ) - オット、続かない？ (3月14日 1時) (レス) @page48 id: c01229bbb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆきちゃん - 歌いながらはずるいwwwwwwwwwすこwwwwwww (2月26日 22時) (レス) @page14 id: f21316dc06 (このIDを非表示/違反報告)
ガトー - 続き待ってます ゆっくりでいいので更新してくれると嬉しいです (12月13日 23時) (レス) @page48 id: 559ff82d78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮面タロウ
| 作成日時：2023年3月18日 18時
