70 ページ23
No side
「──いるだろ、内通者。」
プレゼントマイクの言葉に、会議室は静まり返った。
「合宿先は教師陣とプッシーキャッツしか知らなかったことで、今回決定的になった。ケータイの位置情報なり使えば他の生徒にだって…」
「おい、マイク。自分から言い出したのになんて顔してんだお前」
「だってよォ！俺が先に言わなきゃスパイはドンキホーテで確定じゃんかよ！！」
自分が怪しまれてもいいから、彼がスパイであることを結論付けたくはなかった。
そんなプレゼントマイクの願いは、校長の一言で砕け落ちる。
「…相澤くん。ドンキホーテくんについての報告書を提出してもらおうか。」
「遅くなってしまいすみませんでした。」
「相澤ァ…！」
サングラス越しでも分かる悲痛な表情を浮かべるプレゼントマイクに、相澤は眉ひとつ動かさないまま校長へ報告書を手渡した。
慣れた手つきでレジュメを会議室にいたメンバーに配ると、相澤は淡々と報告書を読み上げる。
「A・ドンキホーテは今から5年前、当時小学生4年生の頃に目の前で母親をヴィランによって殺害されています。」
それから3年後、逃走中だったヴィランが彼の目の前で“自害”
被疑者死亡のまま、書類送検されている。
「仮に、他の生物を自在に操れる能力を彼が使えたとして、死柄木が述べていたことが全て正しければ、我々はドンキホーテを生徒としてではなく“ヴィラン”として対処していかなければなりません。」
報告書は私情を挟んではならない。
一見当たり前ではあるが、人助けの根本が他人を思いやる“情”であることから、プロヒーローは情に絆されやすい傾向がある。
自分の感情を押し殺し、事実だけを抽出する報告書の作成に、頭を悩ませるヒーローは多い。
相澤は、私情を挟まない正確な内容を提出するヒーローとして定評があった。
そんな彼を提出期限ギリギリまで悩ませたのが、A・ドンキホーテの身辺調査報告書だった。
「USJ事件にて、ドンキホーテが敵側へ放った言葉です。」
『俺の経験上、デカくてアホそうなのは近くで支持をしてる人間がいる。ヤツの
『お前、売られてるぞ。──内から』
USJ事件の時に見せた判断や行動は、その場での最善策だった。
おかげで被害は最小限で抑えられ、実力はプロヒーローに引けを取らないどころか、ベテランの風貌さえ見せた。
だが、それが問題だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1761人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オタク - え？神作見つけてしまった...は、？好き。あ〜〜〜、もう大好き過ぎるー...10回くらい読み直してきますね！(洗脳済み) (11月7日 16時) (
レス) @page30 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
天草 礼(プロフ) - めっちゃ読み返してます、、、。面白いです!!頑張ってください！ (2023年3月13日 16時) (レス) @page32 id: 79a8983217 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - また来てしまった…でも何回読み返しても面白いデスゥ (2023年3月8日 21時) (レス) id: e05df9e8cf (このIDを非表示/違反報告)
kot(プロフ) - とても面白いです続き待っています! (2023年2月25日 21時) (レス) @page31 id: 68d4baa64e (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - 1日で全部読んじゃいました…続きひたすらに待ってます。その間に主様の他の作品も読みまくらせていただきますぅぅぅぅぅ！！ (2022年12月4日 12時) (レス) id: 04f1c58536 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仮面タロウ
| 作成日時：2021年10月22日 21時
