2 ページ3
貴方side
「どうしたA？朝から新聞を睨んだりして。」
『ねぇ、シリウス。この行方不明の闇祓いルーファス・スクリムジョールって人の髪って…もしかして琥珀色？』
シリウスに見えるよう、新聞に掲載された白黒の動く写真を指差した。
彼は紅茶のカップをソーサーへ置き、私の持つ新聞を覗き込んだ。
「…あぁ、確かそうだったな。私の裁判でも最後まで再捜査を申し出ていたから彼の顔はよく覚えてるよ。Aの知り合いか？」
『…いや、前にチラッとだけ見たことあって。』
まさかあれは予知夢…？
いや、予知というより、あれはまるで実際にそこに居るようだった。
なら、スクリムジョールは既に──
「…A。つれないじゃないか。今日は君と2人きりなのに」
『ふふ、ごめんね。ちょっと考え事してた。』
ソファーに座りながら私へ向かって両手を広げたシリウス
私は持っていた新聞をテーブルに置いて、シリウスの懐へ飛び込んだ。
お互いに額や頬にキスを送り合って、くすくすと笑う。
「他人の目がなければ、本当にAは甘えん坊だな。」
『公衆の面前ではちょっとね。』
身内以外に甘えたな自分を見せるなんて、恥ずかしすぎる。
誰も見てなかったら別だけど
「私は誰が見てようと構わないけれどな。むしろ人が多い方がいい。」
『なんで？』
「私がどれだけAを愛してるか周りに見せつけられるだろう？」
『ははっ、じゃあ私はいつまで経っても親離れ出来ないね。』
それにシリウスは複雑そうに微笑んだ。
喉に魚の骨が詰まったような、なんとも言えない顔だ。
「そんな焦らずとも、いつまでも私の側にいてもいい。…そうだ、君の卒業後に闇祓い引退したアルファードと3人で世界旅行にでも出かけないか？」
あの吸魂鬼に襲われた夜以来、シリウスは未来について語ることが増えた。
どんな心境の変化があったか分からないけれど、私は素直にそれが嬉しかった。
『それ最高だよ！卒業が楽しみだ！！』
世界旅行か、私はエジプトやトルコ、それにペルーやメキシコへ行ってみたい。
あそこは他文化の中継地、独特な文化構成をしている。
実際にこの目で見てみたいと常々思っていたんだ。
そんなことを夢心地な気分で語っていれば、隣でパールグレーの瞳を細め優しく微笑むシリウスと目が合う。
「楽しみだな。A」
なんだか、心がぽかぽかした。
きっとこういうのも、幸せと呼ぶのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大阪の道民 - ひぃぃ神 (2021年1月24日 15時) (
レス) id: 43f7a9dc20 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - フォスさん» いつもコメントありがとうございます！来週金曜日には更新できるかと思いますので是非お時間あれば見に来てください(^○^) (2020年12月23日 21時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - kanadomeさん» 嬉しいありがとうございます(笑) (2020年12月23日 21時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
フォス(プロフ) - 今回もたいへんドキドキワクワクさせてもらいました！！素敵なお話をありがとうございます！続編全裸待機で待ってます！ (2020年12月23日 20時) (レス) id: b55bbf0988 (このIDを非表示/違反報告)
kanadome(プロフ) - ちょ、きんたまは笑いますw一人でめっちゃ笑っちゃいましたw いつも楽しい小説をありがとうございます！(笑) (2020年12月23日 20時) (レス) id: 9390d9137e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仮面タロウ
| 作成日時：2020年11月5日 16時
