スープの味 ページ15
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ジンさんは特定の物しか口にしない。
口にするのは決まって
酒、タバコ、水、ビタミン剤
いくら栄養が取れるからって、ビタミン剤だけでは身体に良くはない。
特に身体が弱ってる今の状態なら尚更だ。
どうせ口に入れるのなら、冷たい非常食ではなく、温かい手料理の方がいいだろう。
私も非常食は正直飽きたし
そう思いキッチンに立っていると、ウォッカさんに声をかけられた。
ウォ「兄貴のためにわざわざ準備してもらっているところ悪りィが、作っても無駄だと思うぜ。」
貴方「…たぶん、食べてもらえないでしょうね。だからってそれを黙って見ているだけなんて私には出来ないんですよ。」
ウォ「はは、そう言うと思ったぜ。」
料理をしない私が唯一作るのがこれ。
料理名は分からないが、ジャガイモがベースの野菜スープ、これは唯一レシピを覚えている生みの母親の手料理でもある。
テーブルに3人分のスープを出せば、案の定ジンさんは嫌な顔をした。
ジン「…いらねェよ」
貴方「体温を上げるためにも温かい物を胃に入れてほしいです。」
兄さんは仕方なさそうにスプーンですくって少しだけふくむようにして口に入れた。
その様子をウォッカさんが固唾を呑んで見守っている。
ジン「…………美味い。」
ウォ「ッ!?」
貴方「そっか、それなら良かったです。」
それからジンさんは、何も言わず黙々とスープを食べた。
人に食べてもらうのって、けっこう嬉しいものなんだなぁ
バーボンさん今どうしてるのかな…
そんな事を考えていれば、ジンさんは完食したようだ。
彼はうつわを眺めながら、ポツリと流暢なイントネーションで呟いた。
ジン「……Kartoffelsuppe.」
貴方「……え?」
ジン「
貴方「そ…うなんだ。」
ジン「お前、これをどこで?」
貴方「母親が毎月同じ日にコレを作っていたんです。……何故だか分かりませんが」
ジン「………そうか。」
貴方「ねぇ兄さん。毎月、1日に…この料理を食べてもらえませんか?」
今なら分かるような気がした。
母親が何故、スープを作り続けていたのかを
ジン「…他にやる事が無かったら行ってやる。」
貴方「ありがとうございます。」
そうすれば、自分が犯した罪と
少しは向き合えるような気がした。
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仮面タロウ(プロフ) - 作者の仮面タロウです。たくさんのコメントありがとうございました!長い間返信しきれずすみません。実は私のうっかりで占ツクにログインできなくなってしまい更新出来ずにいました。移行にご不便かけますがよろしくお願いします。 (2022年4月25日 12時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
侑(プロフ) - 続きが気になりすぎます、!待ってます (2022年4月1日 1時) (レス) @page33 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 仮面タロウさんのお話、めちゃくちゃ面白くて大好きです!特に好きなのは工藤姉は弟が嫌い!シリーズとミスポッターシリーズです。更新頑張ってください‼︎ (2021年12月31日 23時) (レス) @page33 id: cf1d4c666e (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2021年5月4日 20時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
心夜 - ハリー・ポッターだけでなく名探偵コナンの夢小説まで書けるとは。素晴らしいです!どちらも大好きなので無理せず書いて頂いたら嬉しいです! (2021年2月17日 21時) (レス) id: d958da9fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2019年11月27日 18時