移行しました(工藤姉は弟がキライ５)

失敗する気しかしない… ページ23

貴方side


「作戦は以上よ。何か質問ある？」

『失敗する気しかしない…』



ベルの作戦は、私にとってはあまりに荷が重い役だった。

医師免許を持ってるだけの、ただの一般人でしかない私が出来るはずがない。




「その行動力と判断力、銃の腕前があれば何の問題はないわ。」

『みなさん、私に対して過大評価なんですよ…』




行動力と判断力をあの雪山でのこと言ってるのなら、偶然の産物でしか無いからまじで過大評価でしかないし、

銃の腕前は…うん、ある意味あれは天才的だな。




『第一、私をなんだと思ってるんですか？私の職業医者ですよ？？』

「……そういえば、そうだったわね。」

『嘘でしょ』




もはや忘れられてた…
医者は私のアイデンティティーなんだけどなぁ




『…取り敢えず、私にはそんなスパイ映画の主人公みたいな芸当できませんからね。』

「あら、日本の元大女優の娘であり、その彼女から演技力もお墨付きを貰っているアナタなら出来ないこともないんじゃなくて？」

『バレてらァ…』

「安心しなさい。今すぐ組織に報告したり、有希子たちには手を出さないわ。アナタが変な気を起こさなければ…の話だけど」

『いくらベルでも、あの家族に手を出したらタダでは済ませませんよ。』

「…まさか、この私を牽制しているの？」

『そうしているつもりなんですけどね。』




ここで“それ相応”の対処をしたい所だけど、彼女が組織において高い地位に居るからそれは叶わない。

ベルとの仲は良好だけど、所詮それだけの関係でしかない。




「へぇ…アナタも怒ることがあるのね。」

『ベルモット。』

「ふふ、アナタも可愛い所があるのね。ま、それより今はボスからの仕事に集中しましょ。」

『……そうですね。』

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