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貴方side
『っくそ、あの人、酒強すぎだろ…』
あの後、上司さんは私以上に軽快なペースで酒を煽っていたハズなのに、顔色ひとつ変えずに、しっかりした足取りで帰って行った。
『やめろって言ってるのに、皿洗いまでしやがって…』
悪態も吐きたくもなる。
そんな事を、動かない頭でぽや〜と考えていれば、公安用の携帯端末から着信を知らせる音が部屋に鳴り響いた。
ディスプレイには、《風見》
今の時刻は深夜0時。何か緊急の用件だろうか。
『はーい、もしもし』
《熊狩、…降谷さんはもう居ないのか?》
『……もしかして、上司さん寄越したのって風見さんのしわざっすか。』
《俺が降谷さんの行動をコントロール出来るわけないだろう…。あの人の墓に線香が供えられていたから、もしやと思ってな。》
『…上司さんと、彼の話をしました。』
《そうか…降谷さんの様子はどうだった。》
『ビックリしましたよ〜、突然上司さんが私の家に不法侵入して来たかと思えば飯食って、そのまま帰ったんすよ??マジで意味不明。あの人死んで以来だから《花摘。》…なんすか?』
《そういう軽い口調で話をはぐらかすのはやめろ。胸糞悪い》
『はは、風見さんが口悪い…ホントに怒ってるんですね。』
《花摘。》
『……先輩の話した時、上司さん、バカみたいに傷付いた顔してたんです。…まるで自分が罪人にでもなったみたいに』
《あの人はまだ…自分を…》
『私の所へ来たのも、自分の罪を再確認する為でしょうね。3人で過ごした時間を思い出して、そして、それが奪われたあの日のことを悔いて…
……だから私はあの人が嫌いなんだ。』
何故、ひとりで悔いる必要がある?
何故、共に背負う隙を与えてくれない?
『全部ひとりで背負いこもうとするのに、なんであの人、私を励まそうとするんだよ…』
ひとりでその罪を背負うとするのなら、私なんか突き放せばいいのに
お前の所為だ、と罵ればいいのに
それなら、私はここまで悩まなかった。
《不器用だが、それが降谷さんの優しさなんだ。》
『人に優しさを与えるだけ与えて、自分は受け取らないなんて、卑怯だ。』
《俺はお前の方が卑怯だと思うがな。》
『…違いない』
今日は、飲み過ぎた。
いつもより口が軽い
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仮面タロウ(プロフ) - シズキさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(*^^*)何度か見直してるですけど減らなくて…、更新頑張ります! (2019年11月29日 23時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
シズキ(プロフ) - 仮面タロウさん» 凄く面白いですっ!!シリアスのようでユーモア溢れた会話やストーリ本当好きです!誰だって誤字はありますよ〜。これからも応援していますっ!! (2019年11月29日 22時) (レス) id: 0b065aa661 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます( ;∀;) (2019年11月27日 18時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 32話に誤字がありました。「手見上げ」ではなく、「手土産」です。 (2019年11月24日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます! (2019年11月23日 19時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2019年11月9日 14時