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貴方side



『弁当も作ってたなんて…さては計画的な犯行だな。』


「警察みたいなこと言わないでよ〜。でもAにタイホされるなら、いいかも?」


『疑問形なのがガチ感増してて怖い。…てか逮捕されるような事してんの?』


「あーいやぁ…、あ!!ほら見て!桜見えてきた!キレーイ!」








あからさまに話題を逸らしたナルミにため息を吐きながら、彼女…今は彼の指差す方を見上げた。








『……ホント…綺麗だな。』








曲がり角を超えた先には、雲ひとつない青空を背景に、満開の桜によって彩られていた

目の前に広がる美しい春色の景色に、私は目を細める



…私には眩し過ぎて、少し目が痛いかも



そんな桜を目をキラキラさせながら眺める、私より頭ひとつ分大きいナルミを見上げた。



普段は女性にも勝る美しさと明るさで、周りを魅せている彼女だが、
今の彼には、良い意味で女性らしさは無い

確かに彼の外見は中性的ではあるが、仕草や歩き方は男性特有の凛々しさがある

それが、より彼を男として魅力的にさせていた。



動作や所作でここまで変わるものなのか…と感心していると、私の視線に気付いた彼がふっと微笑んだ









「今日のAも、桜に負けないぐらい綺麗だよ。」


『あらやだ、お口の上手いこと。…でも、さっきから熱い視線を送ってる牛串は自分で買いなね。』


「ちぇ、バレてたか。」


『とーぜん。ナル…セイジの食の好みは熟知してるからね。』


「……ねぇ、いつも思うけど、その呼び方ってどうにかならない?」


『呼び方?』


「俺の名前は、“成実”だ。区別している訳ではないし、俺は私でもある。…Aが思う方で呼んでよ。」








そう真剣な眼差しで、彼は私を見た。

…そうか、私は無意識に恐れていたんだ



ふたたび、友を失ってしまうのを








『……分かった、成実。』








私がそう呼べば、成実に抱きしめられた。

公衆の…それも花見で人も多い道中での出来事に驚き、慌てて彼から離れようと胸元を押すがびくともしない。








『っちょ、成実!?』


「嬉しいんだ。やっと俺を呼んでくれた。」


『…ゴメン。自分の懐に入れるのに、ちょっと臆病になってたみたい。』


「これからその壁どんどん取っ払っていくから覚悟しといてね?」


『うわぁ…不安しかないわぁ』








抱きしめられたまま成実を見上げ、お互いにふふっと笑い合った。









久しぶりに
心から笑えたかも

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仮面タロウ(プロフ) - シズキさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(*^^*)何度か見直してるですけど減らなくて…、更新頑張ります! (2019年11月29日 23時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
シズキ(プロフ) - 仮面タロウさん» 凄く面白いですっ!!シリアスのようでユーモア溢れた会話やストーリ本当好きです!誰だって誤字はありますよ〜。これからも応援していますっ!! (2019年11月29日 22時) (レス) id: 0b065aa661 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます( ;∀;) (2019年11月27日 18時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 32話に誤字がありました。「手見上げ」ではなく、「手土産」です。 (2019年11月24日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます! (2019年11月23日 19時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仮面タロウ | 作成日時:2019年11月9日 14時

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