貴方じゃないとだめ。．NS (ページ37)

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story 36 ページ37

side S

和「…気持ち悪い、よね。」

色彩が消え、どんどん潤んでいく瞳。

自分で自分を軽蔑してる表情だった。

翔「和、気持ち悪くなんかないから。」

和「いいの、」

何が、いいんだよ

何にも良くない。

和「翔ちゃんは優しすぎるんだよ。気持ち悪くないなんて、別に言わなくていいんだよ。」

翔「優しさで言ってるわけじゃ…」

和「ごめん。本当にごめん。今までありがとう。」

翔「何言って…………」

バタンっ

和が出てったこの部屋はひどく冷たい。

追いかけろよ、俺。

・

『頭冷やせ。』

そんなキツい言葉、和に浴びせたことなんかなかった。

今まで和にはとびきり優しく接してきたつもり

余裕あるふりして、何も行動出来ないクセに一丁前に嫉妬はする。

そんな自分にイライラしてそれを和にぶつけてしまった。

あの時の和の目を見ると、思ってもないことを言ってるのは丸わかりだった。

和だって言いたくて言ったわけじゃない。

和もきっと
何かに傷付いて、何かに失望して、何かにイライラして、コントロールが出来なくなっていたんだと思う。

それを分かっていながらあんなことを言った俺は最低。

だから、和に嫌われたと思った。
避けられてることだけでも少々傷付いてるのに、これ以上傷付くのは精神的に無理。

そう思って和には自分から会いたい、なんて言えるはずない。
和に嫌われた。もう翔ちゃんなんか大っ嫌い！
そう思われても仕方がない、

なのに、

なのに、

『翔ちゃんが好き』とか、

やめろよ。

翔「…俺の方が何百倍も好きだっつうの。」

まだ夏の終わりかけ、

太陽だって容赦なく照りつける。

でも俺の心は日陰のように暗く、冷たい。