story 23 ページ24
翔「かず！！」
翔ちゃんが入って来た瞬間、潤くんが俺の頭から手をどけた。
和「翔ちゃん、なんで、」
翔「…なん……んだよ。」
翔ちゃんが小声で呟いた。
和「え？なんて？」
翔「…なんでもない。それより熱は下がったの？」
和「うん！寝たら治った！」
翔「そっか。」
潤「…じゃ、俺帰るわ。
ちゃんと休めよ、かず。」
気を使ってくれたのかな。
和「うん、ありがとね。」
潤くんは素早く保健室を出てった。
翔「“かず"って…」
和「えっ、何？」
翔「…なんでもない。」
今日翔ちゃんがおかしい。
なんでもないばっか。
『…翔くんさ、最近おかしくない？』って、こういうおかしいなの？
和「翔ちゃん、最近なんかあった？」
翔「だいぶ、唐突だね。」
和「あっ、ごめん。
でも、なんかあるんだったら聞くよ？」
翔「…えっ、いや。なにもないって！」
和「嘘つかないで。翔ちゃんの嘘なんてすぐわかるんだから。」
翔「…いや、その…」
俺が一番に分かりたい。一番に理解したい。
大野さんじゃなくて、俺が。
翔「…言ったところで、受け入れてくれないよ。」
和「…どういう意味？」
翔「……さあね？今の忘れていいから。」
和「忘れないし、どういう意味？」
翔「何も言わないよ？だって困るのはかずだから。」
和「そんなことない。」
翔「嘘つき。俺だってかずの嘘くらいわかる。」
和「嘘じゃない。」
翔「分かるんだよ。かずは絶対に拒絶する。」
和「拒絶って……、翔ちゃんにそんなことしないよ。」
翔「いーや、する。」
和「そんなの話してから言えや。
…翔ちゃん、犯罪でもしたの？」
そんなに頑なに言わないなんて心配になってきた。
翔「…は」
図星、じゃないよね翔ちゃん？
和「おっ俺、しょ 翔ちゃんが何やってても味方だから。
警察にいつもは真面目でいい子なんです、って言うよ。」
翔「ハハハハッ」
ん？笑うとこあった？
翔「バカじゃねーの。俺が万引きしたんじゃないかって？」
和「あっ、いや。」
翔「…痴漢？」
そこ、なんでもいいよ。
でも、どうしていいか分からず何も言えないでいると、
翔「そこまで盛ってねーよ。犯罪なんかしてないから。
…もう帰るぞ。」
うまく丸め込まれた気がするけど、とりあえず帰ることにした。
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作者名：名香屋 羽衣 | 作成日時：2019年9月28日 17時
