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智「一目『カズ』を見に来たの!」





俺!?





和「…なんで。」





智「翔くんからいつも話は聞いてたから。

昨日もさ、カズが、カズが、ってうるさかったんだよね。」






和「うそ。」





智「うそじゃないって!

…だから、オランダに戻る前に見てみたかったの!」






和「そりゃどーも。」





智「これからも翔くんをよろしくね。」





なんか今の言い方ヤダ。





まるで、翔ちゃんは俺のもんですよって感じだった。






…まあ、そうなんだろうから仕方ないけど。。。





智「じゃあ、またね。」





和「え、あの。」






智「何?」






和「もしかして、今から飛行機乗るんすか?」





俺が疑問に思ったのは、右手で引いているキャリーバッグだった。




俺にただ会いに来ただけならわざわざキャリーバッグを持ってこない。






智「うん。そうだけど。」




和「え、だって明日翔ちゃん、大野さんに会うって。」




ん???






どういうこと?






智「一つ教えて上げる。



翔くんって、チョー不器用だからね。」






そんな事知ってるよ。




頭はいいけど、



料理できないし、





ゲームだとすぐ死ぬし、





絵のセンスがびっくりするほどないし、





細かい作業ができないし、




あと…「もう、いいよ!」





和「え?」





智「声に出てたよ。」




和「ああ。」





智「まあ、確かに、『カズ』の言ってるのも正しいけど、そーいう不器用じゃない。」





…そーいう不器用じゃない?




智「まあ、じっくり考えてみるといいよ。



あっ、今日ここに来たの翔くんには内緒ね?」






和「は、はい。」





智「じゃ。」





智くんはそさくさと帰っていった。




和「不器用、か。」






翔ちゃんのこと、しっかり理解していると思っていたけど、







そうでもなさそうだ。






すぐ隣の家にいるのに、





心の距離は





全然近づけそうにもない。

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作者名:名香屋 羽衣 | 作成日時:2019年9月28日 17時

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