story 12 ページ13
智「一目『カズ』を見に来たの!」
俺!?
和「…なんで。」
智「翔くんからいつも話は聞いてたから。
昨日もさ、カズが、カズが、ってうるさかったんだよね。」
和「うそ。」
智「うそじゃないって!
…だから、オランダに戻る前に見てみたかったの!」
和「そりゃどーも。」
智「これからも翔くんをよろしくね。」
なんか今の言い方ヤダ。
まるで、翔ちゃんは俺のもんですよって感じだった。
…まあ、そうなんだろうから仕方ないけど。。。
智「じゃあ、またね。」
和「え、あの。」
智「何?」
和「もしかして、今から飛行機乗るんすか?」
俺が疑問に思ったのは、右手で引いているキャリーバッグだった。
俺にただ会いに来ただけならわざわざキャリーバッグを持ってこない。
智「うん。そうだけど。」
和「え、だって明日翔ちゃん、大野さんに会うって。」
ん???
どういうこと?
智「一つ教えて上げる。
翔くんって、チョー不器用だからね。」
そんな事知ってるよ。
頭はいいけど、
料理できないし、
ゲームだとすぐ死ぬし、
絵のセンスがびっくりするほどないし、
細かい作業ができないし、
あと…「もう、いいよ!」
和「え?」
智「声に出てたよ。」
和「ああ。」
智「まあ、確かに、『カズ』の言ってるのも正しいけど、そーいう不器用じゃない。」
…そーいう不器用じゃない?
智「まあ、じっくり考えてみるといいよ。
あっ、今日ここに来たの翔くんには内緒ね?」
和「は、はい。」
智「じゃ。」
智くんはそさくさと帰っていった。
和「不器用、か。」
翔ちゃんのこと、しっかり理解していると思っていたけど、
そうでもなさそうだ。
すぐ隣の家にいるのに、
心の距離は
全然近づけそうにもない。
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作者名:名香屋 羽衣 | 作成日時:2019年9月28日 17時