スーサイデッドメアリンク ED ページ26
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大「…………っく、」
気づけば大野が、ぼろぼろと涙を流している。
カッターを手放したその腕で、櫻井に縋り付いた。
大「……いらねぇ」
櫻「え？」
大「翔君を、イケニエにして、続く世界なんて、いらない」
肩に大野の顔が埋まる。櫻井は、大野を支えるように抱きしめた。
大「どうしても、思えなくって」
櫻「うん」
大「どうしようもないことだから、って」
櫻「うん」
大「デロ、って翔君が」
櫻「デロ？」
大「融けて、怖いものになって」
櫻「うわー…。うん」
大「こんなカッコいい、可愛い翔君、無くなっちゃ……っく、ふ、」
櫻「うん…」
大「そんなの、認めたくない。…そんな世界、いらない」
櫻「うん」
大「オレは、いらない、から。代われるなら、って」
櫻「そっか…」
大「……っ、『君のために世界を失っても』、」
櫻「…『世界のために君を失いたくない』、そう思ってくれたんだ？」
肩が温かい滴で濡れていく。縋る腕の力が強くなる。
痛いほどに、つよく。
大「…オレ、頭悪いから、これしか方法わかんなくて。ごめん。
翔君や、ニノだったら、もっといい方法あったのかもしんないけど」
櫻「そうね。次はもっと早く報告して。こんな重要なことオレら二人で決めちゃって、
きっと松潤すげぇ怒るよ？」
ぎゅ、と抱きしめ返しながら、軽い口調で言えば。小さく小さく、大野は笑った。
そっと、大野の片手が櫻井の目を覆い隠した。
赤々とした夕日で焼かれそうだった目が、暗闇の安らぎに委ねられる。
大「ごめんね。ありがとう」
櫻「オレこそ。…ありがとう」
オレを大事に思ってくれて。…共にいくことを、決めてくれて。
大「……大好きだよ。世界が終わっても、そばにいたい」
そんな声が、聞こえるかもしれない。
最期の瞬間まで、あなたたちはお互いをつよく抱きしめあった。
世界の終わりというものは等しく、どうしようもなく静かに終わる。
あなたは、自分の存在が無に帰していくのを感じる。
最期、うっすらと、大野の手の隙間から見えた世界は。
赤々とした夕日に照らされて、ぼろぼろと、崩れ落ちていく世界だった。
その崩落に、あなたたちも飲み込まれる。
しずかな、しずかな、世界の終わりで。
つよく自分を抱きしめる、相手の腕を感じながら。
あなたたちは、世界とともに、心中する。
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りひと(プロフ) - 匿名さん» コメントいただきありがとうございます！ 楽しんでいただけたらなによりです。 確かに名前を間違ってました！Σ(￣□￣;) ご指摘いただきありがとうございました！ (2019年11月6日 22時) (
レス) id: a7f201b3bb (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - いつも楽しく拝読しています。ありがとうございます！ 「シナリオ解説」頁の最後の行、大野さんではなく櫻井さんでは無いでしょうか？ もしも違ったらごめんなさい。 今、全部のお話を読み直しさせて頂いています。楽しいです♪ (2019年11月6日 16時) (レス) id: 0d8c7ad3a4 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - 翔月さん» コメントありがとうございます！ ホントめちゃくちゃいいシナリオですよね…！ 泣いていただけたとのこと、KP未満もニンマリでございます(笑) (2019年10月13日 9時) (レス) id: adfaa3d053 (このIDを非表示/違反報告)
翔月(プロフ) - 番外編完走お疲れ様です！この結末を選んでくれてお山が大好きな私は嬉しいし、めちゃくちゃ泣きました…読み終わったあと速攻でシナリオを見に行ったんですけど、めちゃくちゃいい話ですね…！確かに翔くんにぴったりですね… (2019年10月13日 0時) (レス) id: 4e535da971 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あおちーさん» コメントいただきありがとうございます！ 番外編は、方向性が悩ましいところもありますが、好き勝手できるのがいいですね(笑) 最後までお付き合いいただきありがとうございました♪ (2019年10月6日 10時) (レス) id: a7f201b3bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと | 作成日時：2019年7月7日 21時
