桂の曾孫､転生トリップする｡ (ページ5)

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3話:見覚えのある青年｡ページ5

?｢…い､おい!意識はあるか!?｣

聞き覚えのない声､でもその声はどうやら私を

酷く心配しているようで｡

目を開けてみると､黒い長髪に茶色?の目の

男性が心配そうに此方を見つめていた｡

その顔は､酷く見覚えのある顔で､でも

知り合いという訳ではなくて､きっと私が

一方的に知っているだけの存在｡

だって､だってこの人は｡

?｢…気が付いたようだな｡どこか痛いところは

ないか?｣

『ひいおじいちゃん…?』

私が昔見つけた家の歴史みたいな本に一際

大きく顔写真付きで乗っていた､桂小太郎

その人だった｡

桂｢ひい､おじいちゃん…?何を言っている?｣

ぽかんとするひいおじいちゃん｡

この姿の人にひいおじいちゃんと言うのは､

中々にお門違いな気もするが､実際私の曾祖父

なのだ｡それ以外の呼び名を､私は知らない｡

『…ごめんなさい､いきなり｡

…ところで､此処は…｡』

桂｢俺の家だ｡すぐそこの路地にお前が倒れて

いたので､拾ってきた｡｣

やっぱりひいおじいちゃんはいい人だ｡

桂｢それで､どうして俺をお前の曾祖父殿と

間違えたのだ｡その年の曾孫がいれば､

老爺かあるいは…｣

『ええ､ひいおじいちゃんは私が産まれる前に

死にました｡』

そう返すと､目を少し伏せて悲しそうにする

ひいおじいちゃん｡

桂｢すまない…聞いては行けなかったな…

では何故俺を曾祖父殿と間違える?

見た事がないのだろう?｣

『うちにある家系図みたいな本に､

貴方の顔が載っているんです｡

貴方の名前は桂小太郎ですよね｡

持ち歩いているので此処にありますよ｡』

桂｢お前…何者だ｡｣

『申し遅れました､貴方の曾孫､桂Aと

申します｡』

畳に手をついて､ぺこりと頭を下げる｡

『信じて頂けないでしょうか｡

ならば戸籍を…』

桂｢いや､信じよう｡…何らかの事情で時代を

跨いでしまったのだろう?

ならば､此方にいる間は俺がお前の面倒を見よう

此方にいる間は､俺の事は兄とでも思ってくれ｣

その一言から､曾祖父と曾孫の奇妙な生活が

始まった｡