第164話 連携 ページ28
手渡した脅迫状を読み終えたと判断して、私は切り出す。
「その脅迫状に関連してそうな死 体は上がってますか?」
私が質問するのを待っていたかのように、彼は突然カウンターから身を乗り出して距離を詰めてきた。
互いの鼻先がつんと当たり、私は思わず後ずさる。
けれど、アンダーテイカーさんはそんなこと気にする様子もなく、気味の悪い笑顔を浮かべている。
「伯爵から聞いてると思うけど、小生も商売でやってるからね〜。タダで教えてあげるわけにはいかないのさ」
「……いくらですか」
「ん?伯爵から聞いてないのかい?」
「ここに来ればアンダーテイカーさんが情報を教えてくれるだろう、としか聞いてないですけど」
私の返答を聞いた途端、目の前にいたアンダーテイカーさんがお腹を抱えて笑いだした。
「!?」
「あーっ、はっははは!伯爵も意地悪だね〜!」
「ど、どういうことですか……?」
「小生はコインにはちっとも興味ないんだよ。小生が欲しいのは極上の笑いさ!」
初対面の人にこんなことを思うのは失礼だって分かっているけれど、言葉にしないだけまだマシだと思う。
この人、変な人だ____________!
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「まぁ今回は伯爵との連携プレーってことでおまけしてあげるよ」
「じゃあ教えてくれるってことで、いいんですか……?」
「うん。でも次はおまけしないからね」
また距離を詰められそうになって、私は咄嗟に後ずさる。私のその様子を見てアンダーテイカーさんは可笑しそうにケラケラと笑う。
小馬鹿にされている気がしてムッと頬を膨らませるが、それさえも彼には笑いの種なのだ。
「〜っ……、あの!」
「んー?」
「質問に答えてもらっていいですか!」
「分かってるさ。確か、この脅迫状に関連した死 体が上がってるかどうかだったね……答えは、Noさ」
「一人も、ですか?」
「君はあの中国人と関わりのある裏社会の人間、主にドラッグを扱ってる人間に被害があると考えてるんだろうけど、ここ最近上がってくる死 体の中にそんな人間はいないよ」
「そう、ですか……」
正直ほっとした。
けれど、手掛かりはなし。やっぱりイタズラなのかな。
アンダーテイカーさんから返してもらった脅迫状に視線を落とすと、彼はまた笑みを深めた。
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古畑のねこ(プロフ) - oemi200174さん» こちらこそ最後までお読み下さり、本当にありがとうございました……!現在「溺愛、死」のその後のお話を執筆しておりますので、良ければ是非読んで頂けると嬉しいです……! (2022年4月18日 15時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
oemi200174(プロフ) - 最後までありがとうございました!素敵な作品に出会えてよかったです!これからも応援してます!!!! (2022年3月20日 0時) (レス) @page50 id: bdeac365d5 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - しののしさん» ありがとうございます……そう言って頂けてすごく嬉しいです。これからも頑張ります! (2022年1月8日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
しののし - 最高です。更新楽しみに待ってます。 (2022年1月1日 12時) (レス) @page26 id: 969dc0e871 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - アリアさん» ありがとうございます!素敵な最終回になるよう、頑張ります! (2021年12月12日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古畑のねこ | 作成日時:2021年9月25日 4時