第161話 空気 ページ25
｢今日一人で来た理由もそれか｣
｢今日は阿片窟に行ってて、一人でお屋敷を出られるのが次いつになるか分からないから……｣
｢お前宛てじゃないことが分かっているのなら、尚更劉の耳には入れた方がいい｣
｢そうです名前様！劉様と関わりのある人間、ということは名前様もその中に含まれるのですよ！？｣
ソーマさんの傍に控えていたアグニさんが珍しく声を荒らげる。
そんなこと、言われなくてもちゃんと分かっていた。
だけど……。
｢おひとりで、片付けたいのでしょう？｣
｢！｣
｢セバスチャン……？｣
｢劉様の耳に一度も入ることなく、この件を無かったことに……違いますか？｣
私は手に持っていたティーカップを置いて、セバスチャンさんを見上げた。
セバスチャンさんは笑みを深めて私を見下ろす。
｢……もし、それができたら、証明になる｣
｢証明？｣
一度目を伏せて、シエルを見る。
｢“劉さんの邪魔はさせない”……絶対に｣
シエルの大きな瞳が一瞬、揺れたような気がした。
邪魔という言葉に、例外はない。
つまりそれは“劉さん以外の全て”ということ。
それを知ってか知らずか、シエルはセバスチャンさんから脅迫状を受け取り私に返した。
｢それに、裏社会の人間に嘘や隠し事は当たり前でしょう？｣
｢……｣
｢シエルもあるんじゃないかな？｣
｢名前……？｣
｢使用人さんや、婚約者には言えない嘘や隠し事……あるんじゃないかな？｣
私の質問にずっと黙ったままのシエル。
一気に客室の空気が冷たくなっていくのが分かる。それを察したソーマさんが不安そうに私とシエルを見る。
別に、脅してるわけじゃないのに。
｢大丈夫だよ、シエル｣
｢何がだ｣
｢私は別にシエルの嘘や隠し事に、興味があるわけじゃないよ……劉さんに関係のないことなら、ね｣
｢……もう、戻らないんだな｣
｢戻らないんじゃないよ｣
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古畑のねこ(プロフ) - oemi200174さん» こちらこそ最後までお読み下さり、本当にありがとうございました……！現在｢溺愛、死｣のその後のお話を執筆しておりますので、良ければ是非読んで頂けると嬉しいです……！ (2022年4月18日 15時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
oemi200174(プロフ) - 最後までありがとうございました！素敵な作品に出会えてよかったです！これからも応援してます！！！！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page50 id: bdeac365d5 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - しののしさん» ありがとうございます……そう言って頂けてすごく嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年1月8日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
しののし - 最高です。更新楽しみに待ってます。 (2022年1月1日 12時) (レス) @page26 id: 969dc0e871 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - アリアさん» ありがとうございます！素敵な最終回になるよう、頑張ります！ (2021年12月12日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2021年9月25日 4時
