第90話 保証 ページ48
ベッドに所狭しと並べられたとびきり可愛くて、華やかなチャイナドレスを劉さんは選ぶことなく、自室のクローゼットにしまってあった一着のチャイナドレスを私に差し出した。
「劉さん、これは……」
「我が名前のために用意したんだよ」
「私の、ために……ですか?」
「名前は我のものだ、って周りに分からせたいのは我も同じなのさ。多分それは名前より、我の欲が現れてるかな」
劉さんからの嬉しすぎる言葉を必死に聞き入れながら、私は手渡されたチャイナドレスを広げる。
赤がモチーフの短いスカート丈に、胸元は黒のレース生地になっており人肌が透けて見えるだろう。
スカートの裾には華と、龍の刺繍が施されていて、太ももの部分はスリットになっている。
「……なんか、えっちです」
「えー、それがいいんじゃないか」
「いつからこれを用意していてくれたんですか?」
「名前がここに来てすぐだよ〜」
「あ、なるほど」
私が顔を引き攣らせていると劉さんはチャイナドレスごと私のことを勢い良く抱きしめた。
「名前なら絶対似合う!我が保証する!」
「で、でもメイドさん達は私には緑や青が似合うだろうって……」
「なんで?」
「さぁ……?」
「名前は赤だよ」
その理由を聞いても劉さんは上手くはぐらかして、私に着替えるよう急かした。
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「ちょ、ちょっと、劉さんっ……」
「んー?」
「一人で、着替えますから……」
「名前はチャイナドレス着たことないだろ?着方分かるのかい?」
「うぅ……メ、メイドさんは、」
「ダーメ。名前の初めてのチャイナドレス姿は、我が一番に見るからね」
ベッドの上。
着ることがなくなった、たくさんのチャイナドレスがシワになることなんてお構い無しと言わんばかりに劉さんは私に覆い被さりワンピースのボタンを外していく。
私は涙目になりながら劉さんの手を止めた。
「……なんで、」
「名前?」
「なんで、劉さんがチャイナドレスの着方を知ってるんですか……?」
「あ」
しまった、という顔をしたまま劉さんはピタリと動きが止まる。
その理由は恐らく着せたことがある、脱がせたことがあるかのどちらかだろう。もしくはその両方か。
しかも、私以外の“女性”に。
「……私が知らない、劉さんの顔……」
「まって!誤解!」
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです! (2021年8月9日 16時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい! (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして!素敵なコメントありがとうございます!小説を書く励みになります……;;これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして!本当に劉がかっこよすぎてたまりません( ; ; )ありがとうございます( ; ; )更新応援しております!楽しみですっ! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……! (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古畑のねこ | 作成日時:2020年9月29日 3時