第49話 真似 ページ4
｢そんな顔が見たくてそれをわざわざ届けに来たわけではないのですが？｣
｢あ、ごめんなさい！｣
｢まだ体調が悪いのでしょう。急に呼び出してすみません、私も仕事に戻ります｣
｢ウィリアムさん、ありがとうございました｣
微笑んでお礼を言うと、ウィリアムさんは一瞬驚いた様な顔をしてすぐいつもの表情に戻る。
するとウィリアムさんは私から少し視線を外して呟いた。
｢……ウィルでいいです｣
｢え？｣
｢あの日、そう呼んでくれたでしょう｣
ウィル……、あなたを、信じる……____________
｢ふふっ、分かりました。じゃあ私からもお礼させてください。あの日私を助けてくれた分と、今日これを届けてくれた分｣
｢……いいでしょう｣
｢ウィル｣
私はウィルの名前を呼び、
逆さにぶら下がるウィルのおでこにそっとキスを落とした。
ほんの少しだけ背伸びをして。
｢あ、貴方はッ……何を、｣
｢ありがとう。あなたを信じて良かった｣
頬を少し赤らめたウィルを見つめてお礼を告げる。
おでこへのキスは、さっき劉さんが私にしてくれたことを真似たもの。
死神と人間。
相容れないこともあるかもしれないけど、
お互いが、お互いを理解し、信頼し合えば
きっとそれは素敵な出会いになる。
｢名前様……！先程悲鳴が聞こえたと庭師の方が仰っていましたが、大丈夫ですか！？｣
｢あ、大変……！メイドさんが来た……私、部屋に戻るね！｣
｢え、えぇ｣
｢ウィルもお仕事頑張ってね｣
そう言い残して私はバルコニーを後にした。
｢名前様、ベッドにお戻りください！｣
｢ごめんなさい、少し風に当たりたかったんです｣
あたふたするメイドさんから視線を外してバルコニーを見るが、そこにはもうウィルの姿はなかった。
私は心の中でもう一度ウィルにお礼を言って、煙管をぎゅっと握りしめた。
もう二度と落としたりしないように____________
夢の舞踏会編 fin.
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです！ (2021年8月9日 16時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい！ (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして！素敵なコメントありがとうございます！小説を書く励みになります……；；これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです！ (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして！本当に劉がかっこよすぎてたまりません（ ; ; ）ありがとうございます（ ; ; ）更新応援しております！楽しみですっ！ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……！ (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2020年9月29日 3時
