罪の名前 Ⅱ (ページ21)

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隣に座っていた優斗に肩をポンポンと軽く触られたことで一気に今いる所に引き返された。

｢さ、くまくん…｣

出てきた作間くんはこの会場の全員の視線を受け止めているかのようにしっかりとした堂々とした立ち振る舞いだった。

愛の夢第3番。

「…ちょっと簡単すぎない?」

なんて声は聞こえなかったふりをして、作間くんの努力と才能をこの場で伝えられる喜びに今は浸ろう。

きっと皆認める。

彼は凄い人になるとここで見せつけれることがどれだけ彼の今後の為になるか、試す時なんだ。

それが、今後彼がピアニストになる時の道標となる。

最初はミのフラットから始まる。

綺麗なその音色に、題名だけ見ればまるで薔薇に囲まれているようなそんなとても夢心地の庭園を思い出させるのに

いざ聞いてみると、この曲は薔薇はなく菜の花やたんぽぽなどごく身近にあるお花の中に小さな幸せを見つけるように優しく、陽だまりに囲まれているような

誰も傷つけないように傷つかないように
せめてもその空間だけはみんなが幸せになれるようなそんな音色が聴こえてくるの。

＿＿＿＿おお、愛しうる限り愛せ＿＿＿＿