罪の名前 Ⅱ (ページ14)

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｢うん、こんな短期間で仕上げられるのが凄いくらいだよ｣

本当にそう思った。

きっと、作間くんはピアノが好きなんだと思う。

弾いている時の彼はとても活き活きしている。
普段はあんなに落ち着いているのにピアノを目の前にすると頬が自然と緩む。
その幸せを噛み締めながら一音一音丁寧に弾いている姿を見ると、

思わず私もその幸せそうな顔をみて思わずふふっと笑う。

｢きっと、作間くんは良いピアニストになれるよ｣

本当にそう思った。

彼ならきっと1番のピアニストになれる。

ピアノが誰よりも1番好きだと、彼は心の底から訴えかけるような演奏をする。

私には持ち合わせていない色んなものを持ってる。

右手首をそっと触る。

私は自分で壊したんだ。

自分の居場所はここしかないのに、自分で自分の首を絞めて蓋をした。

こんな私がまた夢をみたいだなんて浅はかな考えはよそう。

私はもう表にたっていい人間ではない。

だって私はこの手で。