意気地無しラブレター【Ryo】 (ページ6)

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｢あれ、先輩?｣

と、聞こえた方向を向くと

何も入っていなさそうな少し派手めのリュックを背負って、片手にアイスを食べている人がいた。

｢蒼弥か｣

｢えー!!なんですか、そのガッカリした感じ｣

もしかして、橋本先輩だと思ったんですか?

なんて、図星だから何も言えない。

｢蒼弥は呑気でいいよね｣

｢え～それ酷くないですか?
俺だって、悩み事とかあるんですよ｣

たとえば?と聞くと、そう返されると思わなかったのかあたふたする蒼弥。

ちなみにいうと、この子は猪狩蒼弥で。

中学校からの後輩。

私と涼ちゃんがここの高校にしたのを聞いて、蒼弥も入学したらしい。

彼だったらもっと他の偏差値の高い高校に合格することが出来たはずなのに、と思うけれどそれを今言ったところでどうにもならないのは明白だった。

ただ何故、行きたかった第1希望を蹴ってまでここに入学したかは私には分からない。

｢…ほら、たとえば

今日の晩御飯何かな?とか｣

そのチョイスが面白くてふふっと少し笑うと、蒼弥も可笑しそうに笑う。