意気地無しラブレター【Ryo】 (ページ28)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:71,744 hit

＊ページ28

今が放課後で良かった。

クラスメイトに見つかったら多分明日から変な噂が流れる。

そう思われるほど、私は今井上くんに近づいている。

井上くんの背中は壁とくっ付いていて、私も片手を壁につけている。

｢…落ち着けって｣

さっきの顔とは違う。
もう驚いていない。
今はもう面倒くさそうな、鬱屈そうな顔をみせる。

｢落ち着いてる。
それより、さっきの言葉どういうこと?｣

何か知ってるの、そうやって突き止めれば突き止める程彼の口が強く固くなっていくのがわかる。

それでも何とか聞きたかった。

どうして井上くんが知っていて私が知ってないのよ。
嫉妬なんて可愛いものじゃない。どす黒い何かが私の心を覆っていくような感覚に襲われる。

｢何か言ってよ｣

こんなにちゃんと人にキツく話したのは両親以外で初めてだと思う。

いや両親にでさえあまりないと思う。

でもそうやってキツく言いやすいのは井上くんだから。

私の友人ではない。
関係の無い赤の他人だから。

ただ単に幼なじみの友人だから。

｢…ちょっと離れて｣

｢話してくれる気になった?｣

少し離れて、聞くと彼は無視をする。

多分それが答え。

｢いいよ、もう。
りょーちゃんの家行くから｣

少し迷っていたけれど、行く決心が着いた。

本人に直接会おう。

風邪だったらもう治っている頃だと思うし、負担もあまりかからないだろうから。

りょーくんが好きそうなものを買って、君の家に行く。