意気地無しラブレター【Ryo】 (ページ22)

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橋本side

なんで、と言いたいのに。

すぐに言葉にできないから。

昔は声が出ないことがコンプレックスで、いや今もなんだけれど。

今は周りのみんなが優しいから、色々助けてくれる。

昔よりも幾分か生きやすくなったいまでも偏見は度々されるけど。

そういう時昔はよくAに助けて貰っていたな。

ずっと助けられてばっかりで

でも俺が助けたいって、俺がAの側にいて相応しい人になれるようにって強くなろうとすればするほどAとの距離は遠くなっていった気がした。

迷惑は掛けれない、そう思うようになってから友達も沢山作って我武者らにすればするほど、自分を押し殺して頑張っていた気がする。

気づけば隣はAではない、誰かが居て。
何がしたかったんだろうと考えてみても、分からずに考えることを放棄する。

本当の俺は、弱虫ですぐに泣くし、こんなに毎日笑顔を絶やさない人じゃない。

優しくだってないし、気が利くような人じゃない。

"猪狩、ありがとう"

だから

"頑張るよ、あいつの隣に居られるように"

もう逃げることはやめるよ。

"振られた時は猪狩、よろしくな"

そういって、猪狩の元を離れてAの所に走っていく。

｢ほんと、馬鹿だなぁ
先輩が貴方を振るはずなんてないのに｣

2人とも呆れるほどの馬鹿だよ、そういって彼は静かに街灯に照らされた薄暗い夜の道を歩いていく。