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「りょー…ちゃん」
そうやって私が声を出すのに、君は聞こえないふり。
もう分かってるんだよ。
成功、したんだよね?
急に居なくなるくせに急に現れて。
本当に、全部何もかも言わないの。
昔の私だったらもっと貴方の頼りになっていたかな。
あなたの隣で笑っていられたかな。
「A…せ、いこ、う…し、たよ」
あぁ、どうして。
貴方の声を初めて聴いたはずなのに。
どうしてこんなに懐かしく感じるの。
普通の男性より少し低くて、でも温かみのある声。
声変わりなんてとっくに終わっていて、少し掠れてる。
「なんで…なんでよ」
なんで何も教えてくれなかったの。
分からないけど溢れ出てくる涙を拭きながらそういうと、困ったように少し笑う。
「ずっと学校に来ないし、家に行ったらりょーちゃんいないし。
ずっと、ずっと…用済みなんだって」
「ち、がう」
私にはやけにその言葉がはっきり聞こえた。
少し補佐程度に手話を使いながら。
「Aを、守り、た、くて」
だから、手術した。
そういって、私の手を握って自分の耳の裏に手を当てさせる。
触ったらすぐに分かる硬い機械。
耳に埋め込まれているそれは、君が聞こえる唯一の方法で。
骨を削るとりょーちゃんママ入っていたけど、確かにこれは骨を削らないと埋め込むことができないと理解する。
「…痛く、ない?」
私が触ることでなにか良くないことが起きるかもしれない、そう思うと聞かざる負えなくて。
君はううんと否定するように首を横に振る。
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ハル(プロフ) - 新作、!!!頑張ってください! (2019年8月19日 0時) (レス) id: a070df98c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひまわり | 作成日時:2019年8月19日 0時