(encanto)miraculous butterfly2(奇跡の蝶) (ページ10)

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蝶が57匹ページ10

生憎そこにはカミロは居合わせておらず、カミロと話している時でさえもネガティブな事は考えてしまうが、まだ1人の時よりかはマシだった。

カミロの声や顔、話す言葉に集中出来ていたからだ。

それが1人になってしまうと暇になった頭はよからぬ事を考えてしまう

それが嫌でAは無理やりにでも街を歩き回り、手伝いをし、少しでも忙しくしていれば、悪いことは自然と考えなくなっていた。

そして、また街の人に感謝され、家に帰る

今日はカミロとは会わなかった。というか会う暇が無かった

だからといって寂しい訳ではない。
カミロが忙しいのは当たり前だ、子守りをしなくちゃならない。
私みたいにパフォーマンスを少し披露して後は暇。
なんて事はなく、ずっと赤子を抱いたりあやしたり。止まっている暇なんて赤ちゃんが寝た時ぐらいだろう。

そんなのはカミロにとっては当たり前かもしれないが、案外大変な事だと思う。
少しでも目を離したら死んでしまうかもしれない生き物を手の中に抱いているのだから。
当たり前で簡単な事も難しいことだ。

そんな考えをしてるとあっという間に山の頂上にある家につく

A「ただいま。」

誰もいない家にAの声だけが響く。

1人になることは慣れた。産まれた時から私は居ないようなものだ。
ただの道具に過ぎなかった。
武器を生み出し、資源を生み出し、金を生み出し。家族の血筋を途絶えさせないためのただの生産機だ。

そんな私をこの街は笑顔で無いものを居るものにしてくれた。母親は失ったが、この街で生きることができた。

母親にも、この街も街の人達にも、ミラベルもカミロも、マドリガル家の人達にも全てに感謝しきれないくらいの恩を感じている。それを忘れる事はないだろう。

1人ボロボロな私に光のような笑顔を向けてくれた幼馴染のカミロとミラベル。

生きる意味を見出してくれたこの街と街の人達。

私の心も体もはこの街のおかげで育ち元気に暮らせた。

私はこの街が大好きだ。

窓から見える太陽と山、街の風景全てが私の辛い気持ちも浄化してくれる。

許されるのなら、この街でずっと暮らしてたい。
どこにも行かずただここで自分の出来ることをしたい。
街の人たちを笑わせたり喜ばせたりさせたい。

そんな思いがAにはあった。

ただあの女の子に知られてしまった以上それも可能じゃ無くなるのではないかと思える。

明日はどうか。何もありませんように。

Aは手を胸の真ん中で繋ぎ願った。