▼ ページ10
『ホーリーロード地区予選初戦！ 雷門中対天河原中の後半戦！ おっと、雷門は天城に変わって……反田？ という選手が入るようです』
実況に名前を呼ばれてビクリと肩が震えた。緊張を解す為に袖で顔を拭うと、新品のユニフォームがプラスチックの匂いを鼻腔に届ける。
「頑張ろうね典子ちゃん！ 」
「う、うん！ 」
西園君の声に辿々しく返事をして、前を見た。左前には松風君がいて、真正面は遠くにＦＷの、えっと、そうだ倉間さん、倉間さんが見える。
このフォーメーションは４ー４ー２の所謂ダイヤモンドと呼ばれるものだ。バランスが取れてかつ攻撃にフォーカスを当てた陣形だけど、雷門中がこの形を取るのは珍しい。選手層が厚い学校は３トップにするのが近年の主流スタイルだったが──
「あ」
そうこう考えている内に試合開始の笛が鳴った。
『雷門中のボールでキックオフです！ 』
「わわわ試合始まっちゃった」──ワンテンポ先に走り出した西園君を追う形で私も足を動かす。
「俺にボールをください！ 」
「ほいっ」
「ありがとうございます！ 」
松風君が、えっと、浜野さんからのパスを貰い、颯爽とゴールへ向かい走る。
倉間さん達とすれ違う瞬間「おい！ 」と言われたので自分が怒られているのかと思ったが私ではなく彼は浜野先輩を責めているらしい。
『松風！ ドリブルで切り込んでいく！ だが西野空がマークに向かう！ 』
冷静に周りを見ていたらしい。松風君は綺麗な横パスを出すと、ボールは西園君の足元へとしっかり渡っていた。
「て、てっきり突っ込むかと思っちゃった」
松風君はしっかりと周りを見ていて、西園君はまだ改善の余地はあるけど自分を持ったドリブルをしている。
「調子に乗ってんじゃねぇ！！ 」
「うわぁあっ！ 」
敵のスライディングに捕まり西園君が倒れる。
「信介！ 」「西園君！ 」
西園君を心配する私と神童さんの声がハモった。その一瞬の間で高く弾かれたボールは相手のボールになるかと思われたが、松風君がなんとかヘッドで叩き落した。
「あっ、でもヤバい！ 」
『松風がクリアしたボールは喜多が拾った！ 喜多から隼総にセンタリングっ、これは雷門のピンチだ！ 』
「下がれ！ なんで無理に上がってきた反田！！ 」
「す、すみませーーんッ！！ 」
「センターバックだろうお前はッ！ 」
お叱りの言葉を背に受けながら走る。
相手がシュート体勢になろうかといった一瞬の隙を突いて、ＧＫが飛び出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やに(プロフ) - 杳覇さん» くらちゃんコメントありがとうございます(^^) 頑張りますー！ あと早速誤字やらかしているので、読み直し徹底して行きたいと思います恥 (2021年7月12日 10時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - よっしゃ新作きたーー！！！ あああ一話目から面白そう……！！ え、え、めっちゃ楽しみです……！！ 更新待ってます！！ あとその、「急な転向」って「急な転校」ではないでしょうか……！ (2021年7月12日 10時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やに | 作成日時：2021年7月12日 10時
