▼ ページ34
「私は本気のサッカーがしたいんです。雷門中だったら、その願いが叶うかもしれない。……そんな私の我儘を聖帝が聞き入れてくれた。だから私はここにいるんです」
「聖帝……」
「つまり雷門に来たのは君の意思なのか」
「はい！ あと、神童さんはシードを誤解してます」
「誤解だと？ 」
私は頷く。
「シードだからって、全員が全員あんな磯崎みたく腐ってるって思わないでください。少なくとも私がシードになったのは、これまで男子しか出場出来なかったホーリーロードにどうしても出たかったからです！ 」
「……」
「私はフィフスセクターの勝敗指示になんて絶対従いたくありません！ そんなサッカー、私はサッカーって認めたくないんです！！ 」
神童さんが黙って私を見つめる。
「嘘はついてなさそうだ。……お前の気持ちはよく分かったよ。シードだからと、邪険に扱ってすまない。次の試合は一緒に戦おう、典子」
「はい！ 」
「あ、神童。悪いけど次の万能坂戦、典子は出さないからな」
「えぇぇッ！？ 」──やっぱり出してもらえないんだ！？
これは神童さんも予想外だった様で、目を丸くしている。
「ど、どうしてですか？ 南沢さんが抜けた以上、典子の必殺シュートにも頼らないと倉間の負担が大き過ぎます」
「
「なッ──！ 本気ですか監督！？ 」
「あぁ本気だ」
どうして円堂さんは剣城の起用に拘るのだろう。
ふと磯崎が脳裏に浮かんだ。寒気がする。
「……神童さん。剣城の事なんですけど」
「なんだ？ 」
「その、気のせいかもだけど、前と比べて鋭さがなくなった気がするんです」
「鋭さ？ 」
「なんて言えば……。私がアイツと出会った時は、もっとサッカーに一生懸命でした。たまに後ろ姿を見てるだけで鳥肌が立つくらい、ヤバイ気迫出してましたから」
「そういえば、お前達は知り合いだったな。……あぁ、話を遮ってすまない。続けてくれ」
「はい……。そんな剣城が、こんな勝敗指示に従っているのが気持ち悪いんです。アイツは絶対サッカーが好きな筈なんです、じゃなきゃ、私に何度も勝てる訳がない！ 」
私は剣城が許せないのだろうか。
制服のスカートを握りしめる。手汗が酷い。
「直感でしかないけど、剣城の目と磯崎の目は違います。きっかけさえあれば、剣城はきっと本気のサッカーがしたいって思い直してくれます！ 」
だから私じゃなく。
万能坂戦、剣城が出た方がいいって、今思い直しました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やに(プロフ) - 杳覇さん» くらちゃんコメントありがとうございます(^^) 頑張りますー！ あと早速誤字やらかしているので、読み直し徹底して行きたいと思います恥 (2021年7月12日 10時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - よっしゃ新作きたーー！！！ あああ一話目から面白そう……！！ え、え、めっちゃ楽しみです……！！ 更新待ってます！！ あとその、「急な転向」って「急な転校」ではないでしょうか……！ (2021年7月12日 10時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やに | 作成日時：2021年7月12日 10時
