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トンネルを抜けるとまた坂道。あまりの長さに座り込んでいる人までいた。地元住人でも車を使っている様子はない。暗黙のルールでここは歩行者天国(じごく)になっているみたいだ。

「ねえ! 磯崎って剣城の友達ー? 」
「違う」

 剣城は全く足を緩める気配がない。というか登れば登る程スピードが上がっている。

「アイツとはゴッドエデンで会った。お前とはほぼ入れ替わりだったな」
「やっぱり? 道理で名前言われてもピンと来ないんだ! 」
「……そういう所治した方がいいぞ」
「え? 何それ」
「……」
「また黙った。そんなんで試合中声出るのかー? 」

 剣城が走りながら眉間に皺を寄せる。そろそろ万能坂中に着くらしい。坂がちょっとずつ緩やかになっている。

「用がないなら話しかけるな、鬱陶しい。変わらないなお前は」
「剣城は逆に変わったね」
「何だと……? 」
「ゴッドエデンでサッカーやってた時と、今の剣城。全然違うよ。何かあったの? 」
「よぉ、やっとご到着だな。剣城」

 声がした校門前の階段の上に目をやると、三人の人影があった。

「磯崎……」
「あァ? 何だよいたのな、尻軽女。今から剣城と大事な話をしようと思ってるんだけど。ククク……」
「へー、コイツが一年の癖にファーストランクのシードだっていうエリートさんかァ」
「この試合で雷門を潰す様フィフスセクターから指示が出ている。まず始めに……分かってるな? 」
「当然だ」
「潰すって何? 何する気なの」
「さぁ? 後で剣城に聞いてみるんだな」

 蚊帳の外にされて苛ついてむくれていると、私の態度が気に入らなかった磯崎が鋭い視線を向けてきた。

「……あのさ、反田お前、見苦しいんだよね。俺達の言う事聞く気ないなら最初から頭突っ込んで来ないでくれる? 」
「……! お前が言ってた反田ってコイツだったのか。もっとゴリラみたいな奴かと思ったけど、なんだヒョロヒョロじゃん」
「あれ、じゃあコイツもファーストランク? にしてもさァ、こんな女でもなれるんだって知られたらシード全体の沽券に関わるぜ? 聖帝も何考えてんだか」
「いや、あれじゃね? 女だから基準甘めに見てもらったんだろ。いいご身分だぜ」
「──」
「用はそれだけか」

 淡々とした剣城に、面白くなさそうな顔で磯崎達は道を譲った。

「ああ。問題児二人も抱えてると大変だな、剣城」
「行くぞ反田」
「うん」
「シカトかよ。宜しく頼むぜ、エリートさん! 」

 

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やに(プロフ) - 杳覇さん» くらちゃんコメントありがとうございます(^^) 頑張りますー! あと早速誤字やらかしているので、読み直し徹底して行きたいと思います恥 (2021年7月12日 10時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - よっしゃ新作きたーー!!! あああ一話目から面白そう……!! え、え、めっちゃ楽しみです……!! 更新待ってます!! あとその、「急な転向」って「急な転校」ではないでしょうか……! (2021年7月12日 10時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やに | 作成日時:2021年7月12日 10時

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