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「次の試合、俺を出せ」
剣城の低い声だ。
「ああ、お前には出てもらう。最初からそのつもりだったからな」
「……円堂監督。アンタがどんなつもりかは知らないが、俺は好きな様にやらせてもらう。話はそれだけだ」
部室から出ていこうとする剣城を私と松風君が止めるべく出口に立ち塞がった。
「なんのつもりだ」
「「一緒に練習しようよ剣城！！ 」」──私と松風君が昨日練りに練ったセリフを口にする。
よし、タイミングはバッチリだ。二人で言うと言葉に厚みが出ている気がする。これならきっと剣城も感動して練習に──
「フン」
「うわっ」「いてっ」
松風君を押し退けて剣城が出て行く。よろめいた松風君が私の足を軽く踏んだ。
作戦は失敗だ。くそぉ……ちゃんとソプラノとアルトで音程まで分けたのに……。
「何やってんだお前ら……」
車田さんが哀れみの目で私達を見る。
「いや、ちょっとでも隙ができればその間に言いくるめて練習参加して貰えるかなって」
「真面目な話ししてんだぞ！ ふざけてんならお前らも帰れ！！ 」
「まあまあ。俺は面白いと思ったけどなー。特に剣城の苛ついてる顔が」
倉間先輩に洒落にならないレベルの大声で怒られてしまった。気に入ってくれたのは浜野先輩だけの様だ。もうこの作戦は封印しよう……。
「剣城を出すって、フィフスセクターの指示通りになる様な試合をするのが分かりきってるのにどうしてですか！？ 」
「勝利を目指すからこそ剣城を出すんだ」
三国さんの言葉に円堂さんが淡々と答えた。
「俺は本気でホーリーロード優勝を目指す。そして勝つ為の指示を出す。俺と一緒に自由なサッカーをするか、フィフスセクターに従うかはお前達の自由だ」
「自由だ、って……そんな事言われても……」
困惑する先輩達にそれだけ残して円堂さんはグラウンドへと先に行ってしまった。
「……言ってる事とやろうとしてる事があべこべだ。あの監督、マジで何考えてんだよ」
「あわわわ……遂に来たんだ……雷門を潰せっていう司令が……」
「ねぇどうする？ いっその事フィフスセクターに逆らってマジで戦っちゃう？ 」
浜野さんの言葉に私と松風君はパッと頬を緩めた。飛びつかんばかりに松風君が速水さんへ駆け寄る。
「やりましょう先輩！ 」
「ば、馬鹿な事言わないでくださいよ！ 」
「チッ。あのな、フィフスセクターを倒すなんて出来る訳ねえっつーの」
「苛立ってるねー倉間」
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やに(プロフ) - 杳覇さん» くらちゃんコメントありがとうございます(^^) 頑張りますー！ あと早速誤字やらかしているので、読み直し徹底して行きたいと思います恥 (2021年7月12日 10時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - よっしゃ新作きたーー！！！ あああ一話目から面白そう……！！ え、え、めっちゃ楽しみです……！！ 更新待ってます！！ あとその、「急な転向」って「急な転校」ではないでしょうか……！ (2021年7月12日 10時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年7月12日 10時
