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「壁山君、栗松君」
「はっはいッス！ 」
壁山の吃った返事。栗松に関しては声も出ていなかった。二人は声をかけると露骨に怯え足を止めた。飛鷹がそれを尻目に横を通り過ぎていく。
「……あはは、驚かせてしまったかな。安心しておくれ、悪さをするつもりはないから。ほら、走っている途中に足は止めないで。走れなくなるよ」
あくまで微笑み諭す。顔を見合わせた二人だったが、走らない事には仕方がないと、怯えながらも僕の少し後に続く。
「ねえ。君達、やっぱり僕が怖いかい？ 」
後ろを振り返りながら問いかけた。反応はやはり鈍い。
「そりゃあ……」
栗松が消え入りそうな声で何とか答える。
「……そうだよね」
前へ向き直り走りに集中する素振りを見せると、後ろの二人の足音が一拍ズレた。歩幅から考えるに速まったのは壁山で、逆に遅くなったのは栗松だろう──となれば、仕掛ける方は自ずと決まる。
「──うあッ！？ 」
短い悲鳴と、砂利が擦れる嫌な音がした。振り返ると予想通り栗松が地面に倒れている。
「栗松！ 」
「いってて……転んじまったでヤンス」
「大丈夫か？ 」
「これくらい平気でヤンスよ、ッてて……」
駆け寄り見てみると彼の膝は砂で汚れており、傷口にぷっくりと赤い珠が浮かんでいた。
「早く洗い流さないと！ 立てるかい、栗松君」
手を差し伸べると彼は驚いた様子で目を丸くする。
「はえっ」
「砂利道は滑りやすいからね、可哀想に。ああ、手も転んだ時に擦りむいてしまったのか。仕方ない、少し恥ずかしいかもしれないが我慢しておくれ」
「うえ、ええっ！？ 」
「はわわわ……！？ 」
座り込んでいた栗松を抱き上げると壁山も一緒に狼狽した。
「おおお降ろしてほしいでヤンス〜！ さすがに、さすがに自分で歩けるでヤンスよ！？ 」
「僕が話しかけたせいで気が逸れたんだろう？ これくらいさせてくれ」
「さっきのは俺が勝手に転んだだけで影山さんのせいじゃ」
「優しいな栗松君は」
「いや俺は優しくは……」
「……優しいさ。こんな僕と会話してくれるだけで、充分ね」
「ぅ……」
「そうだな、せめて洗い場まで運ばせてよ！ じゃなきゃ僕の気持ちが収まらないからさ！ 」
腕の中で慌てふためく栗松も観念したみたいで大人しくなった。
「壁山君、蛇口がある場所まで案内頼めるかい？ 」
「わ、分かったッス！ えーとここから近くだと……」
僕は体勢を立て直しながら、足元にある土の凹みをささっと均した。
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名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか！ ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (
レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました！更新ゆるりと待ってます！！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し40482号 | 作成日時：2020年10月18日 21時
