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そんな中、神童がゆっくりとこちらへとやって来た。彼は円堂氏、音無氏に頭を下げてから松風へと話しかける。
「松風天馬だったな」
「はい! 」
「……今朝はありがとう」
含みを持った行間は、近くにいる私への反抗の気持ちが現れたのだろう。
「折角頑張ってくれたが、これが今の雷門サッカー部だ」
「それでもいいです! 俺、サッカー部に入ります! 」
「僕もサッカー部に入ります! 」
「……お前も一年だな」
「はい、西園信助と言います! 」
神童の顔から笑みが消えた。
「お前達はもう来るな」
「えっ」
「そんな事言わないの、神童君」
松風と神童の間に、音無氏が庇う様に割り込んだ。
「今まで入部希望者は全員受け入れてたでしょ? ただでもこんなに人がいなくなっちゃったんだから、断る理由はないじゃない」
「ですが」
お願いします!!
松風と西園が深々と頭を下げる──葵、と呼ばれた彼女もやや遅れてそれに倣った。
「コイツらは……きっと後悔します。最初から入部しなければ、下手に傷つく事もない」
「神童君……」
音無氏が円堂氏へと助けを求める眼差しを向けたが、彼は静観したまま動く気はなさそうだ。
「では、私から一つご提案が」
「……」
射抜かんばかりの眼力でこちらを睨む神童。しかし発言を認めぬ様な態度ではなかった為、話を続けた。
「入部テストを行いましょう」
「……」
「当初の予定では多すぎる入部希望者を篩にかける為のものでしたので、新入部員がどれ程集まるか定かではない現段階では不要な取り組みかと思いました。今の雷門は公式試合の規定人数に到達していません。名門雷門のベンチに『空きがある』など、大問題です。頭を下げてでも選手を集めるべき現状、選別など行う余裕はない」
「誰のせいでベンチに空きが出来たと思っているんだ」
「先程退部者が出たのは自分の力不足のせいだと、他ならぬご自身がご説明されていましたが、違うのですか? 」
「……」
「しかし、です。敢えて実施し、形式上はテストの形を取りつつ、実際は雷門のこれからを貴方方が自覚する機会になる様であれば、都合がいいと考えます。そしてその二人にはテストを介して今のサッカーを知っていただき、その上で入部の意志を再度確認すれば済む話です」
「……」
「宜しいですね? 」
「勝手にしろ!だがこれだけは変わらない、俺は、お前達フィフクセクターの指示には従わない」
「では入部テストで
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しけ(プロフ) - 予備肉さん» ごめんね! (12月27日 2時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
予備肉 - 読みにくい (12月27日 2時) (レス) id: a7f9da8f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しけ | 作成日時:2023年7月6日 23時