アテナの鏡【inzmGO】 (ページ5)

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かくして雷門イレブンと黒の騎士団の試合は終わった。雷門イレブンが現状監視の処分に留まった為、黒の騎士団は解散する。シードである事に変わりはないが、仕事がなくなった以上、サッカー部への入部は一部の人間を除き強制ではなくなった。

「で、俺とお前だけがサッカー部に入るのか」
「その様ですね」

　監視役の剣城さんと、補佐の私である。
　彼は木に背を預けながら慌ただしく走る在校生を冷たく眺めていた。

「雷門の監視は俺一人で充分だ」
「と、申されますと？」
「セカンドチームは壊滅、新入部員も入るか怪しい。二人も要らねぇだろ。サッカー部に入らなくてもシードならある程度の恩恵は与えられる……他の奴みたく、どこか別の部活にでも混ざったらどうだ」
「失礼ですが、それを判断するのは貴方ではありません」
「……」
「私の入部は黒木氏の指示です。彼が私を入れると決めたのであれば従うだけ」
「黒木さんが？」
「はい。貴方の補佐役……いえ、小賢しい言い方は辞めましょう。私は貴方の監視役です」
「……」
「化身使いはそれだけで注視される。お気をつけください」
「……聞きたい事がある」
「何なりと」
「どうして神童のボールを弾けた」
「……」
「曲がりなりにも化身の力が乗ったボールを、ただのシードが触れる訳がないだろ」
「過大評価が過ぎます」
「化身には化身でしか対抗できない。常識だ。何を隠してる」
「所詮ハリボテの化身でしょう。あまり私を辱めないでください」

　イレブンバンドが振動する。どうやら事前にセットしていたアラームが作動した様だ。それは剣城さんの方も同じらしく、釣り上がった目を細めて私を睨む。

「誤魔化されねぇからな」

　目を伏せ返事を濁すと、彼は忌々しそうに舌打ちをした。

「剣城さん、お急ぎください。間もなく入学式が始まります」
「自分を棚に上げてよく言えるな」
「私は教室に戻りますので」
「出ないのか入学式」
「はい。ご要望とあらば体育館までご案内いたします」
「ユニフォームで参加するつもりかよ」

　剣城さんが私を頭から爪先まで嫌味ったらしく見下ろす。

「……何か、勘違いをなさっていますか？」
「あ？」
「私は今年で十四になる世代です。ですから、学年で言えば二年です。当然入学式に席は用意されていません」
「……」
「有事の為に横に立っていろ、と言う事なら、従いますが」
「……いや……アンタ、二年だったのか」

　同い歳かと思った──素直な人ですね、剣城さん。