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ページ12

「でもって、この木枯らし荘の管理人さんっ! 」
「ヒィっ……! ボロなんて言ってごめんなさい!! 」
「っふふ、気にしてないわよ。天馬の友達? 」
「うん。同じクラスの西園って言うんだ」
「宜しくね西園君」
「はい! 」

 管理人の木野秋で間違いないだろう。私は一歩前に出て深々と頭を下げた。

「初めまして、黒雲一角と申します」
「あら、やっぱり貴方が一角ちゃんだったの。これから宜しく」
「はい。これからお世話になります。何卒宜しくお願いいたします」

 松風らが三人で顔を見合わせる。

「お世話になるって……」
「言葉通りです。私は木枯らし荘へ下宿し雷門中へ通学しますので、今日は引っ越しの荷解きをする予定です」
「えっ……ええぇぇッ!? 」




.




「だからずっと帰り道一緒だったんだ」

 松風が最後の段ボールを床へと置きながら、そう述べた。他二人は木野氏がクッキーの準備をしているので、そちらへとひと足先に加勢へと向かっている。

「ひとり暮らし初めて? 」
「はい」
「そっか。でもすぐ慣れるよ、何かあったら俺も手伝うからさ」
「ありがとうございます」

 気まずい沈黙に耐えられないらしく、松風は言葉を続けた。

「今日は、その……」
「はい」
「……サッカーを守らなきゃって必死で。放課後に君とキャプテン達が話していた内容も、何も分からなかった」
「……」
「でも俺、やっぱり雷門でサッカーがしたいんだ」
「それは己が名声の為ですか? 」
「名声……? 」
「貴方は今の雷門中に入って、何をしたいのでしょうか」
「何ってサッカーだよ」
「……」
「先輩達とサッカーしたいんだ。だから今日入部を断られた時に黒雲が入部テストしようって言ってくれたの、嬉しかった。あのままだったら入部するチャンスもなかったかもしれない」
「それはあり得ません」
「えっ」
「神童君はキャプテンですが、あくまでいち選手です。チームの運営に口出しできる立場ではありません。所感にはなりますが、円堂監督のあの様子では入部テストを行ったところで、入部希望は全て受理するでしょう。貴方は問題なく雷門サッカー部へ入部できます」

 説明口調になり捲し立てた形になった私に、やや呆気にとられた様子の松風だったが、すぐにこちらを真っ直ぐ見つめてこう言い切った。

「それでも、嬉しかった。きっと俺だけじゃなくて、サッカーもそう思ってるよ」
「サッカーも? 」

 天馬──! 一角ちゃん──!
 階段の下から呼び声がする。

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作品ジャンル:アニメ
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しけ(プロフ) - 予備肉さん» ごめんね! (12月27日 2時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
予備肉 - 読みにくい (12月27日 2時) (レス) id: a7f9da8f5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しけ | 作成日時:2023年7月6日 23時

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