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朝の騒動をスポンサー及び理事長などとも話をつけるべく円堂氏、音無氏は理事長室へと呼び出された。彼らが部室に来た理由はサッカー部員へ帰宅命令を出す為だった。
そして円堂氏が私の提案を飲んだ事で入部テストは早速明日行われる運びとなった。
「大波乱の中学生活一日目だったね」
「うん……」
葵に生返事をする松風。
帰路につく彼らの数歩後を私も辿る。
「ねえ、気持ち切り替えよ? 明日テストなんだからさ」
西園が松風を励ました。
聞けばどちらも雷門でサッカーをするのが幼い頃からの憧れだったと聞く。それに彼らは新入生で、本来であれば歓迎され、雷門イレブンの部室内で話題の中心となるべき存在だったのだ。それが話題の中心どころか常に蚊帳の外、入部もできるか怪しいとくれば不安になり落ち込むのも致し方ない。
「それなんだけどさ、私も入部するよ! 」
「え? どこに」
「話の流れで分かってよ。サッカー部! 私、マネージャーやる! 似合うと思わない? 」
「うーん」
「僕、いいと思う! 」
「でも一つ気になる事があるのよね……やっぱりマネージャーも、テストやると思う? 」
西園と松風が顔を見合わせてはにかんだ。
葵がこちらへ振り返りチラと視線を向ける。返答を求められていると気づくのが遅くなり、やや間を開けてしまった。
「……マネージャーのテストを行うつもりはありません」
「ホッ、良かった」
「ねぇねぇ、なら僕達の入部テストってどんな事するの? 」
今度はしっかりとこちらへと問いかけてきていた為、西園からの質問にはすぐに答える事ができた。
「公平を期すべくテスト内容は当日まで明かせません」
「えぇー」
ガックリと西園が肩を落とす。
すると何やら松風が発見したらしく歩速を緩めた。
「あれ、家の前トラックが止まってる」
彼の目線の先には確かに引っ越し業者のトラックが路肩に駐車している。
私がイレブンバンドで地図を確認している間に、三人はトラックを避けて木造住宅へと駆け寄った。
「ここが天馬ん家? うわぁ古い、と言うか、ボロいというか……」
「ボロいは言い過ぎかな」
「うぅっ!? 」
「ただいま! 」
「おかえりなさい天馬。あら、葵ちゃんも一緒なのね」
「はい! こんにちはー、秋さん! 」
秋と呼ばれた女性は微笑む。
「え、お母さん!? 超わか! 」
「違うよっ! 秋姉は親戚のお姉さん! 」
西園の言葉を松風が必死に身振り手振りをつけて否定した。
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しけ(プロフ) - 予備肉さん» ごめんね! (12月27日 2時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
予備肉 - 読みにくい (12月27日 2時) (レス) id: a7f9da8f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しけ | 作成日時:2023年7月6日 23時