1 黒の騎士団 ページ1
──イナズマジャパンがフットボールフロンティアインターナショナル・ロシア大会を制覇し約十年の時が経った。
その影響によってサッカーの地位は更に高まり、皮肉にも試合の勝ち負けで学校及びスポンサーである企業の評価さえ決まるようになった。
不安定な経済状況が続く事態を重くみた政府は、秘密裏にとある組織を発足する。
『フィフスセクター』
これは激動のサッカー界を描いた、新たなる物語である。
1 黒の騎士団
「男だと思った」
素直だ。それこそ、見かけによらず。
事前に渡された私の情報には写真が無かったのだろう。名前だけで男と間違えられるのは日常茶飯事である。慣れた出来事である上に、無駄話を続ける程時間には余裕が無い為、私は短く頷き挨拶をした。
「初めまして剣城京介さん。私が本日から貴方の補佐をいたします、黒雲です」
「補佐ねぇ」
「ファーストシードの貴方様には不遜な事この上ないでしょうが、聖帝の思し召しですので。ご容赦を」
「あぁ。別に、邪魔にならないならどうでもいい」
本心からどうでも良さそうに言う。先んじて行われていた雷門中との試合も、我々──黒の騎士団の人数はしっかりと揃い踏みだ。遅れてやってきた私は出番がなさそうであるが、監督役を務める黒木氏には後半から指揮を執る様に仰せつかっている。
私と剣城さんの会話が終わるのを見計らって、氏は私に話しかけてきた。
「期待していますよ、黒雲君」
「ありがとうございます。ご期待に応えられるよう努め、邁進して参ります」
頭を下げると視界に己の白い髪がちらついた。耳にかけ、差し出されたタブレットを受け取る。
画面には黒の騎士団と雷門中のデータが表示されており、前半の様子も映像として残されていた。力の差は歴然であり、既に得点には十の開きがある。
「貴方の仕事はボールの支配です。戦意を折るのは剣城君や他の選手に任せておけばいいでしょう」
黒の騎士団と仮に名付けられた我々は、フィフスセクターのシードであり、サッカーの英才教育を受けた者の集まりだ。
たった一、二時間前に顔を合わせたばかりの面々だが、雷門とは自力が違った。
高めの電子音が手首に着けたイレブンバンドから鳴る──黒木氏からの指示を受信し、各々が適切な動きを取る──寄せ集めの面子であれど、連携はこれさえあればどうとでもなるのだ。
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しけ(プロフ) - 予備肉さん» ごめんね! (12月27日 2時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
予備肉 - 読みにくい (12月27日 2時) (レス) id: a7f9da8f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しけ | 作成日時:2023年7月6日 23時