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「じゃあまたね、典子」
「送ってくれてありがとうございました！ 」
虎丸さんはウインクをした後、颯爽と車で走り去る。私はその様子を未練がましく見つめていた。毎日顔を合わせる松風ではなく、虎丸さんとのサッカーを優先させたかったという気持ちが全くない訳ではなかったからだ。
「ただいまー」
お帰り典子──リビングの方からお母さんの声がした。足元を見ると見覚えのある練習シューズがある。松風の物だ。
部屋のドアを開けるとテーブルには飲み物を片手にした松風が、背筋を伸ばして座っていた。
「お邪魔、してます」
「あはは。何で敬語なん？ 」
松風は椅子から降りて私と向き合う。
「てか、練習はどうしたの？ 私の家なんか来て」
「……反田が……転校させられるって、フィフスセクターの人から聞いたんだ」
「えっ、初耳やけど」──奥で作業をしていた母が口を挟む。
「うん。や、私も今日聞いてん」
「また急やなぁ。漫遊寺の時もやったけど、今度はどこやて？ 北海道とか堪忍してよ？ 」
「私も寒いとこはイヤや〜……あっでも、白恋中なら」
「反田」
松風が語気を強めて私達の会話を遮った。
「本当に転校する気なの？ 」
「そうだけど」
「──！ 何でそんな簡単に答えるんだッ！ 」
両肩を捕まれる。松風の剣幕に思わず私は後退りした。
「転校しちゃったら一緒のチームじゃなくなるんだぞ！？ 俺は嫌だよ、反田ともっと沢山サッカーがしたいっ……！ お前にパスを出したい、一緒に戦いたい！ お前がいたから剣城だって本当のサッカーを思い出してくれた！ 」
「それは……！ 」──違う。剣城は元々サッカーが好きなんだ。私がいなくても松風の声援できっとその気持ちを思い出していた筈だ。
「違くなんかない」
カッと頭に血が上る。私は身を捩って彼の手を振り落とした。
「違うってば！ 」
「わっ……！ 」
「剣城のサッカーへの思いは、私がたった一人いるいないで変わったりなんかしない！ 」
「するよ！ ──あの場にいた全員が、剣城を変えたんだ！！ だから……、だから、雷門は……一人でも欠けたら駄目なんだっ……！ 」
一、二分程睨み合っていただろうか。私達をこっそりと見守っていたらしい母が、ジュースとお菓子が乗ったお盆を私に押し付けてくる。
「ほ、ほら。お菓子あるから部屋で食べ？ 」
「いいの？ ご飯前なのに」
「ええよええよ」
「やった〜！ しかもイナズマジャパンチップスやん！ 松風行こ！」
「うん……」
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しけ(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！ 気づいたら無更新で2ヶ月過ぎようとしてますね…！？ 近いうちに必ず更新します！^^ (9月6日 18時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - めっちゃ好きです…！更新お待ちしてます！ (9月5日 4時) (レス) @page27 id: 671cd1d58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2023年1月24日 19時
