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「早いな」
「監督こそ」
朝練が始まる前のミーティングルーム。円堂と神童の声がやけに高く響いた。時間が時間だけにサッカー棟はおろか、校内にいる人間も片手で数えられてしまう程度だろう。痛いくらい静かな部屋の中、口を開いたのは神童だ。
「円堂監督は、反田の事を知っていたんですか」
漠然とした質問だったが、概ねその類の話を振られると分かっていたらしく円堂は頷いた。神童は詰め寄りたい気持ちをぐっと抑えて続きを待つ。
「クラブチームにすっげぇ強い奴がいるって噂になってた。最初は確か、塔子が鬼道に話してた内容を横でちょっと聞いてたくらいだけど」
「……」
「……気になる？ 」
神妙な顔から一変していたずらめいた笑顔になる円堂。
「な、何ですかその表情」
「気になるんだろ典子の事」
「茶化す様な言い方はやめてください！ 俺は真面目な話を」
「だったら、その話の相手は俺じゃなくないか？ 」
決して語気は強くないが、芯を捉えた言葉に神童は押し黙る。
「確かに典子がああなってるのは何か原因があるんじゃないかと思ってる。けどそれは典子の口から聞くべきだ。俺から聞いて分かった気になればなる程、アイツの事を誤解するぞ」
「……はい」
「まぁ、そんなのお前が一番分かってるよな」
「そうだとしても、今更なんて話しかければいいか……。堂々巡りになるのは分かりきってますし」
「なんだ。そんなの簡単だ！ 」
どこからか取り出したサッカーボールを神童へと投げ渡す。反射で神童はトラップした。
「サッカーやろうぜ、それだけでいい」
「いくら何でもそれは……」
「お前も覚えてるだろ？ 万能坂戦前の典子。雷門で本気でサッカーがしたい。嘘混じりっけない本気の言葉だった」
「ええ。俺もあの時のアイツの目が本気だったから、信じたんです。そうだ……サッカーをしている時の典子は本当に楽しそうで……海王との戦いでも、それは変わりませんでしたね」
足元のボールを上げて、両手で包む。
「円堂監督。放課後に」
「いいぞ！ 行ってこい！ 」
「ま、まだ要件を言っていないんですが」
「河川敷だろ？ 天馬が持ち掛けた、秋空チャレンジャーズとの練習試合。あのチーム俺の仲間もいるからさ」
「そうなんですか？ 」
「ああ。このチームなら典子も本気になるぜ」
「……！ 」──それ程までに強いのか──神童は息を飲んだ。
「見て来いよ、典子の本気のサッカー！ 」
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しけ(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！ 気づいたら無更新で2ヶ月過ぎようとしてますね…！？ 近いうちに必ず更新します！^^ (9月6日 18時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - めっちゃ好きです…！更新お待ちしてます！ (9月5日 4時) (レス) @page27 id: 671cd1d58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2023年1月24日 19時
