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ビリヤードみたいだ。いや待てよ、ボールの風圧で吹っ飛んだ彼等の姿を見ているとボーリングに喩えてもよかったかもとか思ったり……。て、こんな事を考えてしまうくらいには今日の打ち上げに行きたかったのか私は。
「ねぇ勝手に動いたら駄目なんじゃない？ 私襲うの、フィフスセクターからの指示じゃないでしょ」
弱過ぎる。
私を本当に罰するつもりで勝負を仕掛けるにしても、フィフスセクターはもっと強い奴を送り込んでくる筈だ。
大体、ついさっき鬼道さんからサッカー新聞を見せられながらフィフスセクターは私をこれから広告として利用するだろうと説明を受けたばかりだ。私を潰そうとするとは思えない。
「黙れこの裏切り者……！ 」
起き上がった彼女は私を強く睨んだ。あれ、そういえばコイツ女の子だ。女子シードは実験的に数人ずつ増やしていると聞いてはいたけど実際に対面したのは初めてでちょっと親近感を抱く。
「お前が雷門に加担し続ければ、私達の様な雷門に充てられた者に迷惑がかかるんだと、なぜ分からない！！ 」
「え、お前雷門にいるの？ じゃあサッカー部入ろうよ！ 一緒にフィフスセクター倒そ？ 円堂さんと神童先輩も喜ぶよ！ 」
「ふざけるのも……いい加減にしろッ！ 」
伸ばした手をパチリとはたき落とされた。
「もう女子がサッカーするには、シードになるしかないって……お前が一番理解していると思ったのに」
「うん。だからシードになったんでしょ？ だったらホーリーロードにも出れるんじゃ」
「皆が皆お前みたいに化物な訳ないだろ」
「えっ……？ 」
「シードになっても、実力がなければホーリーロードになんか、ましてやサッカー部にも入れない。男子と混ざってじゃなきゃサッカーをする資格すらなくなったのに」
「それは、円堂さんに言えば入部くらいできる筈だよ！ ちょっと前までは入部テストあったけど、でも今は」
「フィフスセクターが入部を許すもんか」
一人で力による支配ができる実力はない。
女子である以上シードであると判明した状態で入部する為、陰から部の崩壊を工作する事もできない。
情報を流出させかねないそんな役立たずのシードを、迂闊に送り込むなんて馬鹿な事をフィフスセクターはしないんだ。
指示に逆らって強引に入部すれば、そもそもシードの特権を剥奪されるだろう。
そして女子サッカー界に戻ろうにも──
「──女子サッカーを返せよ、反田典子。これ以上、私達からサッカーを奪うな」
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
