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「そっか。どう、学校生活は。楽しいか？ 」
「うん！ 」
「せっかく雷門に来たんだ。やりたいことないの？ 」
「やりたい事……、サッカー」
「サッカーで何したい？ ドリブルが上手くなりたいとか、エースストライカーになりたいとか」
「うーん……あっ、バタフライドリーム！ 打てるようになりたい！ 」
「え！？ バタフライドリームを？ 」
「連携必殺技できたらもっとサッカーが楽しくなるなって」
「あぁそういう。てっきり好きな奴でも出来たのかと思った……そうだな、連携必殺技かぁ。典子には一番難しい課題かもね」
「そう？ まぁ先輩を誘ったら即断られちゃった」
「てかバタフライドリームはそもそも男子には抵抗あるか。あたしが言ってるのはそういうんじゃないんだけど……」
そういうんじゃない？
首を傾げている内に河川敷駅に着く。
「じゃあ、あたしはここで。今日はいっぱい羽伸ばしてこい！ 」
「うん！ ありがとう」
「……電話、出られない？ 」
「……」
「あっ、責めてるんじゃないからな。たださ、……いや、ごめん。時間ある時にメールでも返してやってくれ。アイツも寂しいんだと思うから」
「う、ん。分かってる……」
「……それじゃ。応援してる」
走り去る車を見送って、ぽつんと一人取り残された。携帯を取り出して番号を途中まで打ち込んで──全部消す。
代わりにイナッターを開いてみると浜野先輩が私宛にメンションを出していた。
来ないのー？
「……」
急用ができたと嘘をついて携帯の画面をカチャリと畳んだ。今日は神童先輩の化身特訓も無い。家にそのまま帰る？ でもやる事がないのだから結局暇を持て余してしまうな。
「反田典子」
「は、はい！ ……て、お前達は」
駅前のポストに寄りかかっていると、突然後ろから話しかけられる。男女の五人組はサッカーユニフォームを着ているが、エンブレムや学校名のプリントがないのでどこかのチームと言う訳ではないらしい。
誰だっけ。いや、何となく顔に覚えはあるんだけどな。
「……えーと、どちら様でしたっけ」
「我々はフィフスフォロワーだ。聖帝のご意志に逆らうお前に罰を与えに来た」
「……あ！ 」
思い出したぞ。コイツら信助との朝練前に突っかかってきた奴等だ。フィフスって名乗ってるって事はフィフスセクターのシードだろうか。
「罰って何。私は何も間違った事してないよ」
飛んできたボールで、二発目に蹴られたボールを相手側に押し戻す。
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
